✍ 古家あきら | 2026-09-29 更新

泉州タオルの美由喜タオル(泉佐野市・1966年創業)が破産。産地の組合員は469社から83社へ。しょくばログDBで見る「社名にタオル」の法人488社、泉佐野市に103社

先に結論です。泉州タオルの産地・大阪府泉佐野市で、1966年創業のタオルケットメーカー、美由喜タオル株式会社が2026年9月14日に破産手続の開始決定を受けました。 報道時点で負債額や経営悪化の詳しい原因は明らかになっていません。一方で、産地全体を見ると、大阪タオル工業組合の組合員数は平成元年の469社から令和元年には83社まで減っています。今回の破産は、一社の出来事であると同時に、長く続いてきた産地の縮小の中で起きたものとして読むのが自然だと思います。

出典:【大阪】泉州タオルの美由喜タオルが破産 1966年創業、タオルケットなど製造(JC-NET)

出典:美由喜タオル(株)|大阪府泉佐野市(東京経済ニュース)

しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、地方の製造業の倒産が報じられた日に、その社名や「〇〇市 タオル 会社」といった言葉で調べる人が増えます。取引先の担当者、その会社で働いている人、産地の同業の会社に応募を考えている人が多い印象です。今回は、報道で確かめられる事実と、産地の統計、うちの台帳の数字を分けて書きます。

何が起きたのか(報道で確認できる事実)

負債額や従業員数、経営悪化の原因は、JC-NETの報道時点では「確実な情報を確認できていない」とされています。ここでは原因を推測で書くことはしません。

泉州タオル産地は、30年で組合員が6分の1に

泉佐野市の公式サイトでは、泉州を「タオル発祥の地」とし、120年余りの歴史があり、全国シェア約42%を占める産地と紹介しています。

出典:産業特産品(タオル、地酒)(泉佐野市)

産地の組合である大阪タオル工業組合が公開している統計を見ると、この間の変化がはっきりわかります。

出典:統計データ(大阪タオル工業組合)

平成元年から令和元年までの30年で、組合員数はおよそ6分の1、生産数量はおよそ5分の1になりました。同じ時期に輸入は4倍を超えています。国内で使われるタオルの多くが海外製に置き換わる中で、産地に残った会社は、ブランドづくりやふるさと納税、ネット通販などで生き残りを図ってきました。美由喜タオルも、返礼品や自社ブランドに取り組んでいた会社の一つでした。

しょくばログの台帳で見えること

台帳ではまだ「閉鎖」ではない

しょくばログの台帳(国税庁の法人番号データがもと)では、美由喜タオル株式会社は泉佐野市長滝の所在地で登録されたままで、閉鎖の日付は入っていません。破産手続が始まっても、登記が閉じるのは手続きが終わってからです。倒産した会社が台帳でどう見えるかは、破産決定を受けても法人番号データでは閉鎖と表示されない会社が多い理由の記事で詳しく書いています。

社名に「タオル」を含む法人は全国488社、泉佐野市だけで103社

しょくばログの台帳で、社名に「タオル」を含む法人を数えると、これまでに登録された法人は全国で488社、そのうち活動中が383社、閉鎖が105社でした。閉鎖率は21.5%で、全国の会社全体(株式会社・有限会社・合名・合資・合同会社)の13.6%より高い水準です。

都道府県別の活動中の法人数は、次のとおりです。

大阪府で累計152社のうち、泉佐野市が103社を占め、泉南郡熊取町13社、貝塚市8社と続きます。全国の「社名にタオル」の法人のおよそ5社に1社が、泉佐野市に登記されている計算です。泉佐野市の103社の閉鎖率は15.5%、愛媛県の114社では27.2%でした。

活動中の383社を会社の種類で分けると、株式会社が204社(53.3%)、有限会社が145社(37.9%)でした。古くから続く家族経営の工場が多い業界の姿が、有限会社の割合の高さに表れています。有限会社という形の会社を見るときの考え方は、有限会社への就職は不利なのかの記事で書いています。

ここでの数字は社名から数えた概数です。社名に「タオル」が入らないタオルメーカーは含まれず、逆にタオルの卸や小売の会社は含まれます。また、法人番号のデータは2015年以降の登録が中心で、それ以前に閉じた多くの工場は台帳に出てきません。組合員数が大きく減った時期の大半は、この台帳の外にあることに注意してください。

働く人・取引先・応募を考えている人が確かめておきたいこと

破産は、会社をたたむための手続きです。立場ごとに確かめておきたいことを挙げます。

破産・民事再生・会社更生・特別清算の違いは、倒産の種類の違いの記事に一覧でまとめています。

よくある質問

美由喜タオルの負債額はいくらですか?

2026年9月29日時点の報道では、負債額は明らかにされていません。JC-NETは経営悪化の原因についても「確実な情報を確認できていない」としています。

泉州タオルと今治タオルは何が違うのですか?

大きな違いは作り方です。泉州タオルは、織り上げたあとに晒す「後晒(あとざらし)」の製法が特徴で、泉佐野市はその特徴を生かした独特の風合いと吸収性のよさを紹介しています。しょくばログの台帳でも、社名に「タオル」を含む活動中の法人は大阪府123社、愛媛県83社と、二つの産地に集まっています。

タオル業界の会社はどれくらい減っているのですか?

大阪タオル工業組合の統計では、組合員数は昭和58年の694社をピークに、令和元年は83社です。組合に入っていない会社もあるため、産地の会社の総数そのものではありませんが、縮小の大きさを知る目安になります。

破産した会社の返礼品や商品のアフターサービスはどうなりますか?

会社ごとに扱いが違うため、一律には言えません。ふるさと納税の返礼品は、申し込んだ自治体やポータルサイトの案内を確認してください。

まとめ

美由喜タオルの破産は、1966年から続いた泉州のタオルケットメーカーが、自社ブランドや返礼品に取り組みながらも事業を続けられなくなった例です。背景には、30年で組合員が6分の1になった産地の縮小があります。一方で、泉佐野市にはいまも社名に「タオル」を含む活動中の法人が87社あり、産地の会社がすべて同じ状況にあるわけではありません。働く人や取引先は、うわさや産地のイメージではなく、一社ずつの登記と公式な案内を確かめてください。しょくばログでは、今後も法人番号データの更新にあわせて台帳の内容を反映していきます。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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