✍ 古家あきら | 2026-10-01 更新
宮城・大河原町のキッチンメーカー「レマン」が自己破産申請へ。1971年創業、売上は約3.2億円から約1.3億円に。キッチンを使う家・店・取引先が確かめたいことと、社名に「キッチン」が入る1,115法人(DB実測)
先に結論です。宮城県柴田郡大河原町の住宅設備機器メーカー、有限会社レマンが、2026年9月25日までに事業を停止し、自己破産の申請準備に入りました。 負債は約1億円と報じられています。1971年に創業し、自社ブランド「LEMAN」で、住宅向けのセパレートキッチンや、飲食店・ホテル向けの大型流し台、公営住宅向けの流し台などを作ってきた会社です。
しょくばログという会社データベースを運営していると、「作った会社が止まったあと、製品を使っている側は何に困るのか」という問いによく行き当たります。キッチンや流し台は、一度取り付けたら十年、二十年と使うものです。会社がなくなっても、製品は台所や厨房に残ります。この記事では、報道で確かめられる事実を押さえたうえで、製品を使っている家庭・飲食店・取引先、そして働いていた人が何を確かめればよいかを書きます。個別の会社を責める記事ではありません。
出典:【破産申請へ】住宅向けセパレートキッチン・業務用の大型流し台などを製造する1971年創業の住設機器メーカー 負債額1億円【帝国データバンク】(tbc東北放送・2026年9月30日)
出典:【宮城】キッチンメーカーのレマンが自己破産へ 売上3.22億円から1.33億円、負債約1億円(JC-NET・2026年9月30日)
何が起きたのか(報道で確認できる事実)
報道で確認できるのは次のとおりです。
- 会社:有限会社レマン(宮城県柴田郡大河原町東桜町)。キッチンや流し台など住宅設備機器の製造・販売
- 沿革:1971年創業、1972年に法人化(報道により「1972年5月創業」とするものもあります)。資本金1,200万円
- 製品:セパレートキッチン、システムキッチン、コンパクトキッチン、レンジフード、業務用流し台。報道によると「LDOシリーズ」はBL認定製品
- 売上:2001年9月期に約3億2,200万円。2025年5月期は約1億3,300万円で、約4,600万円の純損失。2026年5月期も約1億3,000万円で赤字
- 経緯:主力のセパレートキッチンの需要が減り、新築住宅の減少や原材料の値上がりが重なった。2026年3月にはカタログを新しくしていたが、事業の継続を断念
- 手続き:2026年9月25日までに事業を停止し、弁護士に後の処理を任せて自己破産の申請準備に入った。負債は約1億円
2001年9月期と2025年5月期を比べると、売上はおよそ6割減っています。四半世紀かけて少しずつ細っていった形で、急に悪くなったわけではありません。
しょくばログの台帳では、この会社(法人番号4370102000659)は2026年10月1日時点で登記が「活動中」のまま載っています。破産の申請や開始決定があっても、手続きが終わるまで登記は閉じません。登記が活動中であることは、営業していることの証明にはなりません。 この点は倒産統計に映らない会社の終わり方でも書きました。同じ住所に登記されている法人は、この会社1社だけでした。
台帳で数えた、社名に「キッチン」が入る法人
しょくばログの台帳(国税庁の法人番号データ、全国575万件)で、社名に「キッチン」が入る法人を数えました。社名だけで数えているので、キッチンを作る会社だけでなく、飲食店やキッチンカー、リフォームの会社なども含まれる概数です。
- 社名に「キッチン」が入る法人:1,115(うち活動中949、閉鎖166)
- 閉鎖率:14.9%(台帳全体の閉鎖率は13.3%)
- 株式会社:616法人のうち閉鎖88(14.3%)
- 有限会社:266法人のうち閉鎖50(18.8%)
- 合同会社:135法人のうち閉鎖13(9.6%)
- 閉鎖の理由:清算の結了など119、登記官による閉鎖35、合併12
- 活動中の多い都道府県:東京都238、大阪府83、神奈川県69、北海道54、愛知県40
- 宮城県:21法人(うち活動中18)
有限会社の閉鎖率(18.8%)は、株式会社(14.3%)より高く出ています。有限会社は2006年以降は新しく作れない形なので、古い会社が多く、そのぶん閉じた会社も積み上がりやすいという事情があります。レマンも有限会社でした。
もう少し広く、社名に「住宅設備」が入る法人も数えると931で、閉鎖率は16.3%でした。「住設」まで広げると3,215法人で、閉鎖率は13.2%です。
なお、登記の閉鎖は、休眠会社の一斉整理などで数が大きく動くことがあります。ここで使っているのは「今の時点で何割が閉じているか」という比率だけで、年ごとの増減の比較には使っていません。
キッチン・流し台を使っている家庭が確かめたいこと
1. 製品の銘板と型番を控えておく
まず、自宅のキッチンや流し台がどのメーカーの何という製品かを確かめます。扉の内側や本体の側面に、メーカー名や型番のシールが貼られていることが多いです。修理や部品の交換を頼むとき、型番が分かるかどうかで話の早さが変わります。取扱説明書や保証書が残っていれば、一緒に保管しておきましょう。
2. 修理や部品の相談は、まず取り付けた会社へ
メーカーに直接修理を頼んでいた場合、その窓口は止まっている可能性があります。工務店やリフォーム会社、販売店を通して取り付けたなら、まずその会社に相談するのが早道です。扉の蝶番や水栓、排水の部品のように、他のメーカーの汎用品で替えられるものもあります。BL認定製品は、認定制度を運営する一般財団法人ベターリビングが問い合わせ先の一つになります。
3. 賃貸・公営住宅なら管理者に伝える
公営住宅や賃貸住宅の流し台は、入居者のものではなく、住宅の持ち主の設備です。不具合があれば自分で手配せず、管理している自治体や管理会社に伝えてください。
飲食店・取引先が確かめたいこと
業務用の大型流し台は、ステンレスの本体そのものは長持ちしますが、排水まわりや脚の部品は傷むことがあります。同じ寸法の流し台を別のメーカーで探す場合は、幅・奥行き・高さと排水口の位置を先に測っておくと、入れ替えの手間が減ります。
レマンに部品や材料を納めていて代金を受け取っていない会社は、破産手続きが始まれば債権の届出の対象になりえます。通常は裁判所や破産管財人から通知が届くので、届いた書類の期限を必ず確認してください。手続きの種類ごとの違いは破産・民事再生・会社更生・特別清算の違いにまとめています。取引先の状態を普段から確かめる方法は取引先の信用の調べ方で、決算の時期の調べ方は会社の決算月の調べ方で取り上げました。
働いていた人が確かめたいこと
給料や退職金が支払われていない場合、国の「未払賃金立替払制度」の対象になることがあります。窓口は労働基準監督署です。制度のあらましは給料が遅れる会社は危ない?立替払制度のことに書きました。雇用保険の手続きのために、離職票が届いているかどうかも確かめておきましょう。次の職場を探すときは、応募先の会社が実在し、倒産していないかを確認しておくと安心です。やり方は会社が実在するか・倒産していないかの確認方法にまとめています。
「長く続いた」と「今も安定している」は別のこと
この会社は創業から50年を超えていました。それでも、主力の製品の需要が細り、売上が長い時間をかけて減っていくなかで止まりました。業歴が長いことは、今の経営が安定していることの証明にはなりません。 設立年ごとの見方は設立年から見る「老舗」「中堅」「新興」の目安で、住宅まわりの会社の状態の調べ方は工務店の経営状態の調べ方で取り上げています。
よくある質問
レマンのキッチンは、そのまま使い続けてよいですか?
製品そのものが急に使えなくなるわけではありません。ただ、メーカーの修理や部品の供給が受けられなくなる可能性があります。不具合が出たら、取り付けた工務店や販売店に相談し、汎用の部品で直せるかを聞いてみてください。
レマンの負債はいくらですか?
報道では約1億円とされています(2026年9月30日時点)。正式な額は、破産手続きが始まったあとの破産管財人の報告などで分かります。
登記が「活動中」なのに、なぜ倒産と言えるのですか?
登記は、清算などの手続きが終わるまで閉じないからです。事業を止めて破産の申請準備に入った会社でも、しばらくは登記上「活動中」のまま残ります。会社の今の状態は、登記だけでなく報道や官報もあわせて確かめるのが確実です。
似た名前の会社とは関係がありますか?
社名に「レマン」が入る会社はほかにもあり、今回の会社とは別の会社です。取引や応募の前には、住所と法人番号(この会社は4370102000659)で同じ会社かどうかを確かめてください。