✍ 古家あきら | 2026-10-09 更新

家事代行サービスの運営会社を調べる方法 — 許可の有無と、家政婦紹介所との違い。「家事」「家政」を名乗る会社の24.2%は閉鎖していた

先に結論です。家事代行サービスの運営会社は、サイトの会社概要に書かれた社名と所在地を、国税庁の法人番号公表サイトで照らし合わせれば確かめられます。そのうえで「その会社は何をしているのか」を、家事代行(会社が自社のスタッフを家庭に行かせる)と、家政婦紹介所(家庭と家政婦さんの雇用をあっせんする)のどちらかに分けて見ると、確認するもの(許可番号の要不要)が決まります。

職業安定法の条文を読むと、有料の職業紹介を事業として行うには厚生労働大臣の許可が要ります(30条)。紹介所の側は、許可番号が確認できる世界です。一方、会社が自分で雇ったスタッフを家庭に行かせる家事代行は、職業紹介の定義(求人と求職の申込みを受けて雇用関係の成立をあっせんすること)には、条文の文面上は当てはまりません。ただし、この区別を最終的に判断するのは厚生労働省や労働局なので、私は「条文の定義から読むとそうなる」という範囲に留めて書きます。

しょくばログという会社データベースを運営していると、「家事代行 会社名」で調べてたどり着く方が、会社の実在そのものより先に「許可は要るのか、無許可の業者ではないのか」で迷っているのを感じます。うちの台帳で、閉鎖していない株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社(4,422,900社)のうち、社名に「家事」または「家政」を含む会社は185社で、その83.8%(155社)が有限会社でした。いまの家事代行ブームのイメージとは違う、古い会社が中心の分野だということが、数字から見えてきます。

「家事代行」と「家政婦紹介所」は、法律の上では別の仕組み

見た目は似ていても、家庭に来る人の雇い主が誰なのかが違います。ここを押さえると、あとの確認が楽になります。

内閣官房の会議資料(日本成長戦略会議の家事支援に関する資料)には、家事代行サービス認証制度の説明と並んで、スタッフを雇用する型と業務委託の型の事業者の研修の例が、それぞれ載っています。同じ「家事代行」の看板でも、雇用型と業務委託型の両方があるということです。契約の前に、スタッフがどういう立場の人なのかを聞いておくと、事故があったときの話が早くなります。

条文で確かめたこと:有料職業紹介の許可(職業安定法)

e-Govで2026年10月9日に取得した職業安定法から、この記事に関係する部分です。

家政婦紹介所が有料でこれを行うなら、許可の対象です。許可を受けた事業者には「○○-ユ-○○○○○○」の形の許可番号があり、確認の仕方は派遣会社・人材紹介会社の許可番号を確認する方法にまとめています。家事代行の会社でも、家政婦の紹介を併せて行っているなら、その部分には許可番号があるはずです。

一方、会社が自社で雇用したスタッフを家庭に行かせる家事代行は、利用者と会社の間の契約(サービスの提供)で、職業紹介(雇用関係の成立のあっせん)とは別の仕組みです。ですから「家事代行の会社なのに、許可番号がサイトに載っていない」こと自体は、おかしなことではありません。許可番号の有無は、紹介を名乗っているかどうかで見るものです。

労働基準法の「家事使用人」の除外

家庭に直接雇われて家事をする人(家事使用人)には、労働基準法が適用されません。e-Govで確認した労働基準法116条2項に、「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない」と書かれています(2026年10月9日に取得した条文でも、この規定はそのまま入っていました)。

厚生労働省は、この「家事使用人」を、家政婦(夫)紹介所を経由するなどして家庭と直接労働契約を結び、家庭との雇用関係の下で家事業務を行う人と説明しています(「家事使用人の雇用ガイドライン」のページ)。同ガイドラインは2024年2月8日に策定されたものです。業務内容や就業時間があいまいでトラブルになる、就業中のけがに対する補償が十分でない、といった問題が背景に挙げられています。

ここから読めるのは、家庭が直接雇う家政婦さんの働き方と、会社に雇われて家庭に行くスタッフの働き方では、法律の枠が違うということです。定義の文面は「家庭と直接労働契約を結ぶ人」ですから、会社に雇われているスタッフは、この定義の外側にいることになります。ただ、個別の働き方がどちらに当たるかは契約の中身で決まるので、断定はしません。

この除外を見直す議論については、2024年9月4日の厚生労働省の「第12回 労働基準関係法制研究会」の資料に、家事使用人について、状況の変化を踏まえて労働基準法を適用する方向で具体的な施策を検討すべきではないか、という意見が示されたと、複数の解説が伝えています。私は原資料の本文を直接読み込めていないので、その後の扱いは確認できていません。最新の状況は、厚生労働省の発表で確かめてください。

運営会社を調べる手順

ここからは実務です。サービス名や屋号から運営している会社にたどり着き、その会社が実在することと、何をしている会社なのかを確かめます。

1. サイトの「会社概要」から、社名・所在地・代表者を書き写す

家事代行のサイトには、ほとんどの場合「会社概要」や「運営会社」のページがあります。社名は「株式会社」の位置まで正確に、所在地は番地まで、代表者名と電話番号も控えます。サービス名と運営会社の社名が違うのはよくあることです。店名・サービス名から運営会社を探す一般的な手順は店名・サイト名から運営会社を調べる方法にあります。

2. 国税庁の法人番号公表サイトで照合する

国税庁法人番号公表サイトで、控えた社名を検索します。出てきた所在地がサイトの所在地と合えば、登記上の会社は実在しています。同名の会社が出てきたら所在地で絞ります。手順の詳細は法人番号の調べ方にまとめました。社名に「家事」「家政」が入る会社は、同じ社名が全国で重なることが少ない(後述)ので、所在地で1社に絞れることが多い分野です。

3. 法人番号が見つからないときは、個人事業主かもしれない

屋号だけで営業している個人事業主には、法人番号がありません。家事代行は小さな事業者が多い分野なので、法人番号公表サイトで見つからないからといって、すぐに実体がないとは言えません。個人事業主の見分け方は個人事業主と法人の見分け方に書いています。個人の場合は、特定商取引法に基づく表記に出ている氏名・住所・電話番号が手がかりになります。表記の見方は特定商取引法に基づく表記の見方にあります。

4. 「紹介」を名乗っているなら、許可番号を引く

サイトに「家政婦紹介」「有料職業紹介」と書いてあるなら、「○○-ユ-○○○○○○」の許可番号が載っているかを見ます。載っていなければ、厚生労働省の人材サービス総合サイトで社名から検索して、許可の記録があるかを確かめます。載っていないだけで、許可がないとは決められません。

5. 保険・認証・契約書を確かめる

家庭に人が入る仕事なので、実在の確認のほかに、万一のときの備えも見ておきたいところです。

認証マークの掲載状況は、あとで数字で示します。

うちのデータで見た「家事」「家政」の会社

ここからは、しょくばログが持っているデータで数えた結果です。個社名は出していません。

社名に「家事」「家政」を含む会社は185社、83.8%が有限会社

国税庁の法人番号データをもとにした会社台帳で、閉鎖していない株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社(4,422,900社)のうち、社名に次の語を含む会社を数えました(1社が複数の語を含むことがあります)。

このうち社名に「家事」または「家政」を含む会社が185社です。法人種別の内訳は次のとおりです。

有限会社は、2006年の会社法の施行で新しく設立できなくなった形態です。社名に「家政」の付く会社の大半が有限会社なのは、家政婦紹介所の時代から続く古い会社が多いことを示しています。「家事代行」という社名の会社は活動中でわずか4社で、いま見かけるサービス名の多くは、社名ではなくブランド名として使われているということです。サービス名で検索しても社名がヒットしにくい理由も、ここにあります。

都道府県別では、東京都が39社(21.1%)でいちばん多く、北海道13社、千葉県12社、神奈川県10社、大阪府9社、宮城県・埼玉県が各8社、福岡県7社と続きます。活動中の会社全体で東京都が占める割合は24.1%なので、東京だけに偏った分野ではありません。

社名がほかの会社と重なる心配は小さい分野です。この185社のうち、全国に同じ商号の会社がほかにもあるのは8社でした。

閉鎖している会社は24.2%。全体の13.6%より高い

閉鎖した会社も含めて、社名に「家事」「家政」を含む株式会社・有限会社などは244社で、そのうち閉鎖しているのは59社、24.2%でした。台帳全体(5,121,487社のうち閉鎖が698,587社)の閉鎖の割合は13.6%なので、これより高めです。

注意点が一つあります。登記が閉鎖された理由には、解散・清算のほかに、休眠状態の会社の整理なども含まれ、閉鎖の理由は台帳だけでは分かりません。ですからこの数字を、サービスの質や事業の継続性そのものの評価に使うことはしません。使えるのは「古い社名の会社は、すでに閉じているものも多い」ということまでです。サイトに載っている社名が、いまも登記上の活動中の会社なのかどうかは、手順2の照合で確かめられます。

会社サイトの表記:運営会社・保険・認証・許可番号

しょくばログが保存している会社のホームページ(文字として読めた31,159社分)のうち、「家事代行」「家事サービス」「家事支援」「家政婦」のいずれかの語が出てくるサイトは135社(0.4%)でした。語を機械的に数えたものなので、家事代行を本業にしているサイトだけでなく、事業の一つとして触れているサイトも含みます。数が小さいので、傾向をつかむ目安として見てください。以下は、この135社の中での割合です。

会社の紹介ページに触れているサイトが8割を超えるのは、運営会社の確認はやりやすい分野ということです。一方で、保険に触れているサイトは13.3%、認証に触れているサイトは3.0%にとどまります。保険や認証の有無は、サイトの表記だけでは分からないことが多く、契約の前に問い合わせて確かめるものと考えておくのがよさそうです。

許可番号の形の文字列があるのは6社で、「職業紹介」の語が出てくる17社のうち4社でした(紹介の語が出てくるが許可番号の形がないサイトは13社)。紹介の語はサービス説明の中の言及(求人募集での表現など)にも出てくるので、13社を「許可がない紹介業者」と数えることはできません。数字が示すのは「載っているかどうか」だけです。

気をつけたい「よくある取り違え」

国家戦略特区の外国人家事支援人材について

少しだけ触れておきます。内閣府の国家戦略特区のページによると、国家戦略特別区域法16条の4に基づく「家事支援外国人受入事業」があり、特定機関が外国人を雇用契約に基づいて受け入れ、第三者管理協議会による管理体制のもとで家事支援の活動を行う仕組みです。実施区域として東京都・神奈川県・千葉市・大阪府・兵庫県・愛知県などが挙げられています。

この事業に参加できるのは、国が定めた基準を満たす特定機関(受入企業)に限られます。サイトで外国人スタッフによる家事代行をうたっている会社があれば、この事業の特定機関なのかどうかを、内閣府の公表資料で確かめられるはずですが、私は特定機関の一覧までは確認していません。ここでは制度の存在だけを書き、個別の会社の適否には踏み込みません。

よくある質問

家事代行サービスを始めるのに、許可や届出は必要ですか?

家事代行そのものについて、「この許可を取らなければならない」という業法の許可制度があるとは、私は確認できていません。ですから「許可が不要」と言い切ることはしません。確かなのは、家政婦の紹介を有料で行うなら、職業安定法30条の許可が必要ということです。事業を始める側の立場で調べるなら、厚生労働省の労働局の窓口などに確認するのが確実です。

家事代行サービスのサイトに許可番号が載っていません。問題がありますか?

自社のスタッフを家庭に行かせる家事代行であれば、職業紹介の許可番号がないこと自体は不自然ではありません。「家政婦紹介」「有料職業紹介」と名乗っているのに番号がない場合は、人材サービス総合サイトで社名から検索して、許可の記録があるかを確かめてください。

スタッフが物を壊したら、誰が弁償しますか?

契約の内容によります。会社が賠償責任保険に入っていれば、会社の保険で補償する形になるのが一般的ですが、保険の加入はサイトに書かれていないことも多い(うちの集計では、家事代行に触れたサイトの13.3%に、保険の語がありました)ので、契約前に書面で確認しておくと安心です。家庭が直接家政婦さんを雇う形(家政婦紹介所の経由)では、雇用の責任関係が違ってきます。

家政婦さんを家庭が直接雇うと、労働基準法の保護は受けられないのですか?

労働基準法116条2項で、家事使用人には同法が適用されないと定められています。このため、厚生労働省は2024年2月に「家事使用人の雇用ガイドライン」を策定し、契約の内容を書面ではっきりさせることなどを示しています。見直しの議論もあるので、最新の状況は厚生労働省の発表で確かめてください。個別の事情は、労働局などの窓口で相談できます。

しょくばログで家事代行の会社を調べられますか?

社名や法人番号で会社ページを開くと、登記上の所在地や、会社サイトから読み取れた情報を確認できます。サービスの比較やおすすめ、ランキングを出す機能はありません。サイトの社名と登記上の所在地を照らし合わせる用途に使ってください。

まとめ

数字について

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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