✍ 古家あきら | 2026-09-29 更新
会社の受賞歴・表彰歴を調べる方法 — 会社サイト3万社で「受賞・表彰」を載せているのは24%だった
先に結論です。会社の受賞歴・表彰歴は、①公式サイトの「沿革」「お知らせ」「会社概要」、②表彰を出した側(自治体・省庁・業界団体・コンテストの主催者)の発表ページ、③公共工事なら発注機関の表彰一覧、の3か所で確認できます。いちばん確かなのは②で、会社のサイトに書いてある賞の名前を、主催者のサイトで探して一致するかを見るのが基本の手順です。
しょくばログという会社データベースを運営していると、会社の公式サイトを保存して中身を数える機会がよくあります。今回、読める状態で保存できている会社サイト31,159社を対象に、「受賞」「表彰」「アワード」「入賞」という言葉が出てくる会社を数えました。結果は7,450社・23.9%。おおよそ4社に1社です。
ただ、中身を分けて見ると、「表彰」と書いてあっても社内の表彰制度(永年勤続表彰や社長賞など)の話だけという会社が少なくありませんでした。受賞歴を見るときに何を区別すればよいかを、数字と一緒に整理します。
受賞歴・表彰歴を調べる3つの場所
1. 会社の公式サイト(沿革・お知らせ・会社概要)
受賞や表彰は、会社にとって外に出しやすい実績なので、多くの場合サイトに載っています。探す場所は次の3つです。
- 沿革:「○年 ○○賞を受賞」のように年表の中に入っていることが多い
- お知らせ・ニュース:受賞した直後に記事として出していることが多い
- 会社概要・企業情報:「受賞歴」「表彰歴」の欄を設けている会社もある
サイト内検索がない場合は、検索エンジンで「会社名 受賞」「会社名 表彰」と入れると早いです。
2. 表彰を出した側の発表ページ(裏取りの本命)
会社のサイトに書いてあるのは、あくまで会社側の説明です。賞や表彰には必ず出した側がいるので、そちらの発表と照らし合わせるのがいちばん確かです。
- 都道府県知事・市長の表彰 → その自治体のサイトの報道発表
- 大臣表彰 → 各省庁の報道発表(受賞者一覧が出ることが多い)
- 業界団体の表彰 → 協会・連合会のサイトや会報
- デザイン賞・品評会・コンテスト → 主催者の受賞一覧ページ
主催者のサイトで会社名が見つからない場合は、年や賞の正式名称を会社側の記載どおりに入れ直して探してみてください。それでも出てこないときは、面接や商談で「どこが主催した賞ですか」と聞くのが確実です。
3. 公共工事の表彰(建設業を調べるとき)
国や自治体の発注機関は、成績の良かった工事や技術者を表彰しています。国土交通省の直轄工事では、総合評価落札方式の評価項目に「企業の能力等(施工実績、工事成績、表彰等)」が入っていることが、国土交通省の運用ガイドラインで示されています。つまり建設業では、表彰は入札で評価される実績でもあります。各地方整備局や自治体のサイトで、年度ごとの表彰工事の一覧が公開されていることが多いので、会社名で探せます。
うちのデータで見る「受賞・表彰を載せている会社」
ここからは、しょくばログが保存している会社サイトを数えた結果です。数え方は次のとおりです。
- 対象:保存済みの会社サイト32,838社のうち、文字化けが少なく読める31,159社
- 判定:本文に「受賞」「表彰」「アワード」「Award」「入賞」のどれかが出てくるか
- 業種・地域・法人の種類は、国税庁の法人番号データと照合(業種は日本標準産業分類の大分類)
- 従業員数は、gBizINFOに登録されている値がある会社のみ
「書いてある」を数えたもので、受賞・表彰が本当にあったかを確かめたものではありません。この前提で読んでください。
全体では23.9%、「受賞」の語に絞ると15.5%
31,159社のうち、上の言葉のどれかに触れていたのは7,450社(23.9%)でした。「表彰」を除いて「受賞」「アワード」「入賞」だけに絞ると4,816社(15.5%)です。同じ保存データで数えたSDGsの記載が17.0%だったので(会社のSDGsへの取り組みを調べる方法)、受賞・表彰はそれより広く載っている話題だといえます。
「表彰」の17.8%は社内の表彰制度だけ
ここがいちばん注意してほしい点です。受賞・表彰に触れている7,450社のうち、2,087社(28.0%)が「表彰制度」「永年勤続」「社長賞」「MVP」など社内の表彰の言葉を使っていました。さらに、社外からの受賞や自治体・団体の表彰らしい言葉がなく、社内の表彰の話しか出てこない会社が1,325社(17.8%)ありました。
社内表彰は採用ページの福利厚生欄に書かれていることが多く、会社の評価ではなく社員を評価する仕組みの話です。「表彰」という言葉が出てきたら、まず「誰が誰を表彰したのか」を読み分けてください。社内制度の見方は会社の福利厚生を調べる方法でも触れています。
表彰の出どころ別の内訳
受賞・表彰に触れている7,450社について、どんな表彰の言葉が並んでいるかを数えました(1社が複数に当てはまることがあります)。
- 金賞・最優秀賞・品評会・モンドセレクション等:544社(7.3%)
- 感謝状:495社(6.6%)
- 業界団体・商工会議所等の表彰:494社(6.6%)
- 大臣表彰・大臣賞:484社(6.5%)
- 知事・市長など首長の表彰:374社(5.0%)
- 優良工事・工事成績の表彰:301社(4.0%)
- グッドデザイン賞:230社(3.1%)
- 技能五輪・現代の名工などの技能系:47社(0.6%)
一つひとつの割合は小さく、賞の種類がとても幅広いことが分かります。「受賞歴あり」とひとまとめにできるほど、中身はそろっていないというのが実態です。
また、「2024年」「令和6年」など直近3年の年と「受賞」「表彰」が近くに並んでいる会社は782社(10.5%)でした。受賞歴が古いか新しいかは、サイトの記載から年を確かめる必要があります。
業種別:建設業33.4%、医療・福祉13.0%
業種ごとの割合(その業種の保存済みサイト300社以上のものに限定)は次のとおりです。かっこ内の後ろの数字は、「表彰」を除いて「受賞」系の語だけで数えた割合です。
- 建設業:33.4%(3,489社中1,166社)/受賞系18.2%
- 製造業:29.2%(6,600社中1,924社)/受賞系21.1%
- 運輸業・郵便業:27.0%(981社中265社)/受賞系10.4%
- 学術研究・専門・技術サービス業:25.0%(1,406社中352社)/受賞系17.2%
- 情報通信業:23.6%(2,103社中497社)/受賞系15.9%
- 卸売業・小売業:20.5%(1,504社中309社)/受賞系12.2%
- 不動産業・物品賃貸業:20.1%(503社中101社)/受賞系13.9%
- 宿泊業・飲食サービス業:18.7%(807社中151社)/受賞系13.5%
- 金融業・保険業:18.5%(507社中94社)/受賞系11.8%
- 生活関連サービス業・娯楽業:16.9%(468社中79社)/受賞系12.2%
- 医療・福祉:13.0%(3,296社中430社)/受賞系7.1%
面白いのは運輸業です。全体では27.0%と高いのに、「受賞」系の語に絞ると10.4%まで下がります。つまり運輸業の多くは「表彰」の話です。中身を見ると、運輸業で受賞・表彰に触れている265社のうち71社(26.8%)が「無事故」「安全」「優良運転」などの表彰を書いていました。製造業では同じ言葉は3.2%(1,924社中62社)しかありません。
建設業も同じように業種の色が出ます。建設業で受賞・表彰に触れている1,166社のうち229社(19.6%)が「優良工事」「工事成績」の表彰に触れていました。先ほどの入札の話と重なります。
同じ「表彰」でも、運輸業なら安全運転の実績、建設業なら工事の出来ばえ、製造業なら製品やデザインの賞、と業種によって何が評価されているかが違うわけです。業種の確かめ方は会社の業種を調べる方法にまとめています。
規模別:従業員50人を境に上がる
従業員数が分かる会社で分けると、次のようになりました。
- 1〜9人:18.0%(6,308社中1,134社)
- 10〜49人:20.9%(9,750社中2,040社)
- 50〜99人:27.7%(3,559社中986社)
- 100〜299人:27.4%(8,142社中2,233社)
- 300人以上:30.8%(6,911社中2,128社)
50人を超えると割合が一段上がります。ただし、この数字には社内表彰制度の記載も含まれている点には注意してください。
法人の種類別・地域別
法人の種類別では、株式会社26.0%(25,823社中6,711社)、有限会社(特例有限会社)12.9%(1,128社中146社)、社団・財団・医療法人などその他の法人14.4%(3,873社中556社)でした。
都道府県別(保存済みサイト300社以上の都道府県に限定)では、高い順に栃木県30.4%(411社中125社)、富山県28.3%(540社中153社)、岩手県28.3%(322社中91社)、新潟県27.1%(743社中201社)、山形県27.1%(406社中110社)。低いほうは京都府16.2%(875社中142社)、沖縄県18.1%(331社中60社)、千葉県18.7%(849社中159社)でした。地域差には、その県で保存できている会社の業種の偏りも混ざっているため、県の特徴と言い切るのは控えます。
受賞歴を読むときのポイント
認定マークとは別物として扱う
くるみん(子育てサポート)やえるぼし(女性活躍)のような国の認定制度は、決まった基準を満たした会社だけが取れるものです。一方、受賞・表彰は主催者ごとに基準も選び方もばらばらです。何十社も応募して1社だけが選ばれる賞もあれば、一定の条件を満たした会社がまとめて表彰されるものもあります。
働きやすさを確かめたいなら、受賞歴より国の認定の有無のほうが比べやすい材料になります。認定の種類は企業の認定マーク一覧で整理しています。品質や環境の仕組みなら、外部の審査を受けるISOの認証も確認先になります(会社のISO認証取得を調べる方法)。
確かめる4つの問い
受賞歴を見たら、次の4つを確認すると中身が読めます。
1. 誰が出した賞か(自治体・省庁・業界団体・民間のコンテスト) 2. 何が評価されたのか(製品・工事・安全・人材・地域貢献) 3. いつの受賞か(古い受賞だけが並んでいないか) 4. 主催者側の発表で名前が確認できるか
4つ目がいちばん大事です。主催者の発表と一致すれば、少なくとも「その賞をもらった」ことは確かになります。
サイト自体が古くないか
受賞歴のページが何年も前で止まっている会社もあります。サイトの更新が止まっている会社の見分け方はホームページの更新が止まっている会社は大丈夫かにまとめています。
転職・取引の前にどう使うか
転職先を調べるときは、受賞歴を「その会社が何で評価されてきたか」を知る材料として読むのがよいと思います。運輸業で無事故の表彰が続いている会社なら安全への取り組み、製造業で製品の賞を取っている会社なら開発の姿勢、というように、仕事の中身を想像するヒントになります。面接で「○○賞を取られた仕事には、どの部署が関わっていましたか」と聞けば、現場の話が出てきやすくなります。準備の流れは面接前にやる会社研究チェックリストや転職前の企業研究のやり方を参考にしてください。
取引先を調べるときは、受賞歴そのものより、会社が実在して事業を続けているかを先に確かめてください。手順は会社のドメインで実在を確認する方法や会社の許認可を調べる方法が役に立ちます。受賞歴は、その上で相手の強みを知るための材料として使うのが順番です。
よくある質問
受賞歴のある企業の一覧はどこで見られますか?
すべての賞をまとめた公式の一覧はありません。賞ごとに主催者が受賞者を発表しているので、知りたい分野の賞(大臣表彰、知事表彰、業界団体の表彰、グッドデザイン賞など)の主催者サイトで一覧を探してください。会社から探す場合は、公式サイトの沿革やお知らせを見るのが早いです。
受賞歴がある会社は優良企業と考えてよいですか?
そうとは限りません。賞の基準や選ばれ方は主催者ごとに大きく違い、評価されたのも特定の製品や工事など一部分であることが多いです。誰が何を評価した賞なのかを確かめたうえで、ほかの情報と合わせて判断してください。
「表彰制度あり」と求人に書いてあるのは受賞歴のことですか?
多くの場合、違います。永年勤続表彰や社長賞など、会社が社員を表彰する社内の制度のことです。今回の集計でも、受賞・表彰に触れている会社の17.8%は、社内表彰の話しか出てきませんでした。
会社のサイトにしか受賞の記載がない場合、どう確かめればよいですか?
賞の正式名称と年を控えて、主催者のサイトや報道発表で会社名を探してください。見つからない場合は、面接や商談で主催者名と受賞年を直接聞くのが確実です。
建設会社の表彰実績はどこで調べられますか?
国の地方整備局や都道府県・市町村のサイトで、年度ごとの優良工事表彰の一覧が公開されていることが多いです。国土交通省の直轄工事では、表彰は総合評価落札方式で評価される項目の一つにもなっています。今回の集計では、受賞・表彰に触れている建設会社の19.6%が優良工事や工事成績の表彰を書いていました。