✍ 古家あきら | 2026-09-12 更新

会社のISO認証(9001・14001)を調べる方法 — 一括検索が無い理由と、会社サイト32,838社を数えて分かったこと

先に結論です。会社のISO認証は、国の公的データベースでは確かめられません。 ISO 9001(品質)やISO 14001(環境)の認証は、国や自治体ではなく民間の「認証機関」が審査して出すもので、その登録簿は認証機関ごとに分かれています。全部をまとめて引ける公的な窓口は存在しません。確かめるルートは4つで、①会社が名乗っている認証機関のサイトにある登録組織検索、②公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)の「JAB認定のマネジメントシステム認証組織検索」、③情報セキュリティ(ISO/IEC 27001)だけは情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)の検索、④世界の認定機関が参加するIAF CertSearch、の順に当たると、大半の会社は決着がつきます。ただし②〜④には「載っていなくても取得している」ケースがあり、その理由はこの記事の後半で書きます。

しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、「求人票に『ISO9001取得』とあるが本当か」「新規取引先の会社概要にISOのロゴがあるが、どこで確認できるのか」という質問が来ます。先日書いた企業の認定マークの意味では、くるみん・えるぼし・健康経営優良法人といった国が出す認定を扱いました。ISOはその反対側、民間が出すお墨付きです。国の認定は所管省庁が一覧を公表しているので確認が簡単ですが、ISOはそうなっていません。この記事では、①なぜ公的データに無いのか、②認証と認定の違い(ここを押さえると確認先が分かる)、③4つの確認ルートと使い方、④載っていないときに考えられる理由、⑤うちが保存している会社サイトのテキスト32,838社分を数えて分かったこと、⑥よくある質問、の順で書きます。

ISO認証が公的データに無い理由

ISOの認証は、法律上の届出でも登記事項でもありません。 ISO(国際標準化機構)は規格を作る団体で、自分では認証をしません。ISOの公式サイトにも「ISOは認証を行わない。認証を受けたい組織は独立した認証機関に連絡すること」と明記されています。認証を出すのは、日本ならJQA(日本品質保証機構)、日本検査キューエイ、BSIグループジャパン、日本規格協会ソリューションズ、DNV、ビューローベリタスジャパンなどの民間の認証機関で、審査に通った会社に登録証を発行し、自社の登録簿に載せます。国はこの過程に関与しないので、法人番号公表サイトにも登記簿にも決算公告にも、ISOの項目はありません。

うちのデータベースは、国税庁の法人番号データを土台に、経済産業省のgBizINFO(基本情報・届出認定・決算公告・財務・調達・特許・補助金・表彰・職場情報)、金融庁のEDINET、各都道府県の建設業許可や入札参加資格、厚生労働省の介護・障害福祉事業所、女性活躍推進企業データベース、健康経営優良法人などを法人番号で突き合わせて作っています。2026年9月12日時点で取り込んでいるデータ源は58種類、属性の項目は68種類です。このどれにも「ISO認証」に当たる項目はありません。 gBizINFOには「届出認定」という区分があり、78,897社に何らかの届出・認定が付いていますが、中身はDX認定制度・事業継続力強化計画認定・競争参加資格のような国の制度で、ISOを含むものは0件でした。gBizINFOの「事業概要」欄(89,253社に記載あり)を文字で探しても、「ISO」の語が出てくるのは19社、しかもその半分ほどはISOの審査やコンサルティングを事業にしている会社で、自社が取得している旨を書いているのは10社に届きません。公的データを片端から集めても届かない、というのがまず事実です。

「認証」と「認定」の違いを押さえると、確認先が分かる

ISOの世界では「認証(certification)」と「認定(accreditation)」を厳密に使い分けています。JABの説明を借りると、認証は「会社がISO 9001などの規格に適合しているか」を第三者の認証機関が審査して証明すること、認定は「その認証機関が審査する能力を持っているか」を認定機関が評価して証明することです。会社は認証機関から認証を受け、認証機関は認定機関から認定を受ける、という二段構えになっています。

日本の認定機関はJAB(品質・環境・労働安全衛生・食品安全など)と、ISMS-AC(情報セキュリティのISO/IEC 27001)の2つです。JQAのISO解説ページも「JQAを含む認証機関はこれらの認定機関からお墨付き(認定)を得て認証を行っている」と書いています。ここで大事なのは、会社のISO認証が載る一次の登録簿は認証機関のもので、認定機関の検索はそこから提供を受けた二次的な一覧だということです。だから確認の順番は「まず認証機関、次に認定機関」になります。

会社のISO認証を確かめる4つのルート

ルート1:会社が名乗っている認証機関の登録組織検索

ISOを取得している会社は、会社概要や登録証の画像に「認証機関:JQA」「登録番号:〇〇」のように書いていることがあります。認証機関の名前が分かるなら、その認証機関のサイトにある登録組織検索を引くのが最短です。 JQAなど主要な認証機関は、自社が認証した組織を検索できるページを持っています。会社名と登録範囲(どの事業所のどの業務が対象か)、規格、登録日が出ます。ここで見つかれば確定です。検索のコツはJABの案内と同じで、「株式会社」などの法人格を外して組織名だけで検索することです。

ただし、認証機関の名前まで書いている会社は多くありません。うちが保存している会社サイトのテキストで、ISOの規格番号を書いている3,647社のうち、認証機関の名前か「認証機関」「審査登録機関」という語まで書いているのは508社(13.9%)でした。残りの8割強は「ISO9001取得」としか書いていないので、その場合は次のルート2に進みます。

ルート2:JAB「認定のマネジメントシステム認証組織検索」

JABのサイトには、JABが認定した認証機関から提供を受けた認証組織の一覧があります。2026年9月11日現在で36,498件が載っていて、QMS(ISO 9001)・EMS(ISO 14001)・MD-QMS(ISO 13485)などの規格で絞り込め、組織名・登録範囲・産業分類で検索できます。1件ずつ「名称/登録範囲/認証機関」が並ぶので、ここで見つかれば、どの認証機関が出した認証かまで分かります。

注意点が2つあります。ひとつは、JABの検索に載るのは「JABが認定した認証機関から認証を受け、かつJABのサイトでの公表を希望している組織」だけだということ。JAB自身がよくある質問で「ISO 9001/ISO 14001認証取得組織がウェブサイトの認証組織検索で表示されない場合がある」と断り、理由を列挙しています(次の節で全部書きます)。もうひとつは、この36,498件が「ISO Surveyと数が合わない」とJAB自身が明記していることです。ISOとIAFが出したISO Survey 2024(2025年9月公表)では、日本のISO 9001の有効な認証は41,525件、ISO 14001は22,932件です。JABの一覧は全規格を合わせて36,498件なので、ISO 9001だけでも少なくとも5,000件ほどがJABの検索に出てこない計算になります。JABに無いことは「取得していない」の証拠にならない、ということを先に押さえてください。

ルート3:ISO/IEC 27001(ISMS)はISMS-ACの検索

情報セキュリティのISO/IEC 27001は、JABではなくISMS-AC(情報マネジメントシステム認定センター)が認定機関で、検索先も別です。ISMS認証取得組織検索は2026年9月11日時点で登録8,684件・公表8,439件、認証機関・都道府県・組織名・登録範囲・認証登録番号で絞り込めます。認証機関の欄には日本品質保証機構、日本検査キューエイ、BSIグループジャパン、日本科学技術連盟、日本規格協会ソリューションズ、DNV、ビューローベリタスジャパン、SGSジャパンなど27の機関が並んでいます。「登録8,684・公表8,439」の差が示すとおり、公表に同意していない組織が245件あり、ここでも「載っていない=未取得」とは言えません。

なお、個人情報の「プライバシーマーク(Pマーク)」はISOではなく、JIS Q 15001に基づく日本独自の制度で、付与機関のJIPDECが付与事業者検索を別に運営しています。求人票で「ISO27001・Pマーク取得」と並べて書かれることが多いので、確認先が違うことだけ覚えておいてください。

ルート4:IAF CertSearch(世界の認定機関が参加する横断検索)

国際認定フォーラム(IAF)が運営するIAF CertSearchは、世界の認定機関と認証機関からデータを集めた横断検索で、2026年9月12日に見た時点で3,667,235件の認証、2,558の認証機関、81の認定機関が載っていました。ISO自身も2025年からISO Surveyの集計元をこのデータベースに切り替えています。会社名で検索すると、認証の有効性・出した認証機関・その認証機関を認定した認定機関の3点が確認できます。JABの検索に出てこない会社で、海外の認定機関(英国のUKAS、米国のANABなど)の認定を受けた認証機関から取得しているケースは、ここで見つかることがあります。無料で検索できますが、一括照合やAPI連携は有料プランの範囲です。

検索に出てこないときに考えられる理由

JABがよくある質問で挙げている理由を、そのまま整理します。会社が「ISO取得」と名乗っているのに検索で見つからないとき、候補はこの5つです。

このほか「認証機関がJABから認定されている範囲の外で認証を受けている」ケースも挙げられています。JABの認定は規格ごと・産業分野ごとに範囲が決まっていて、範囲外の認証は一覧に出ません。

逆に、見つかったのに安心できないケースもあります。ISOの認証には登録範囲があり、「本社工場の〇〇製品の製造」のように事業所と業務が限定されています。全社が取得しているように書いてあっても、登録範囲は1工場だけ、ということは珍しくありません。また、認証は毎年の維持審査を受け続けないと保てず、更新審査もあるので、登録証の画像だけを見て「取得済み」と判断すると、失効後の古い画像を見ている可能性があります。登録簿で「現在有効か」まで確かめてください。

うちが保存している会社サイトのテキスト32,838社を数えた

しょくばログでは、会社の採用情報を集めるために会社サイトを巡回し、採用ページを中心にサイトのテキストを保存しています。2026年9月12日時点で保存があるのは32,838社分です。この中で「ISO 9001」「ISO14001」「ISO/IEC 27001」のように規格番号つきでISOを書いている会社を数えました。表記ゆれ(半角・全角・スペース・スラッシュ)はまとめています。

該当したのは3,647社、32,838社の11.1%でした。 規格別ではISO 9001が2,699社(8.2%)、ISO 14001が1,590社(4.8%)、ISO/IEC 27001が742社(2.3%)、ISO 45001(労働安全衛生)が156社、ISO 22000(食品安全)が121社、ISO 13485(医療機器)が86社です。9001と14001の両方を書いている会社は1,236社で、9001を書く会社の半分近くは14001も持っています。一方、27001だけを単独で書いている会社は447社で、27001はIT系の会社が9001とは無関係に取る、という取り方の違いが出ています。参考までに、プライバシーマークかPマークの語がある会社は1,129社(3.4%)でした。

念のため書いておくと、この数字は「サイトにISOの規格番号が書いてある会社」であって「取得している会社」ではありません。「ISO9001取得支援」のようなコンサルティング会社や、「ISO9001取得を目指しています」と書いている会社も含みます。それでも、11.1%という割合は、うちが公的データで見つけた「19社」とは桁が3つ違います。会社のISOを知りたいなら、公的データではなく会社サイトを見るほうが早い、という現実がここにあります。

業種で見ると、製造業は22.4%、医療・福祉は1.4%

該当3,647社を、うちの台帳の業種(日本標準産業分類の大分類)で区切ると、書いている割合は次のとおりでした(分母は各業種で保存がある会社数)。

製造業の5社に1社がISO 9001をサイトに書いているのに対し、医療・福祉は100社に1社強です。「ISOを持っていない」ことが業種によっては何の情報にもならない、ということです。医療・福祉の会社を「ISOが無いから品質管理が弱い」と読むのは筋違いで、その業種には会社の許認可を調べる方法で書いた指定・許可のほうが実質的な要件になっています。相手の業種は会社の業種を調べる方法の手順で先に確かめてください。

従業員規模で見ると、50〜99人が16.4%で最多、10人未満は1.9%

同じ3,647社を、gBizINFOの従業員数が紐づく会社に限って規模で区切ると、書いている割合はこうなりました。

10人未満で1.9%というのは、ISOの取得と維持に審査費用と担当者の工数がかかることの反映だと読んでいます。50〜299人の帯が最も高く、300人以上で下がるのは、大企業ほどグループの親会社が取得していて子会社のサイトには書かない、あるいは採用ページに会社概要の細部を載せない、という事情が混ざっていると思います。従業員規模の確かめ方は会社の従業員数を無料で調べる方法に書きました。

求人票・会社概要の「ISO取得」をどう読むか

求人票の「ISO9001取得企業です」という一文は、応募者にとっては品質管理の体制がある証拠に見えます。うちの立場からは、次の順で読むことを勧めます。

実在の会社が本当に取得していても、その情報が求人票に転記されるときに規格番号が落ちる、範囲が広がる、ということは起きます。会社の実在そのものが疑わしい求人は、ISOより先に架空求人を見分ける6つのサインの確認を済ませてください。取引先として見る場合は、ISOは新規取引先の確認事項チェックリストの中の1項目にすぎず、登記の異動や営業実態の確認のほうが先です。

よくある質問

ISOの認証を取得している会社の一覧は、どこかにまとまっていますか

日本全体をひとつにまとめた公的な一覧はありません。いちばん広いのはJABの認証組織検索(36,498件・2026年9月11日現在)ですが、JABが認定した認証機関の認証で、かつ公表に同意した組織だけです。ISO/IEC 27001はISMS-AC(公表8,439件)が別に持っています。世界横断ならIAF CertSearchです。うちが取り込んでいる公的データ58種類・68項目にもISOの項目はありません。

求人票の「ISO9001取得」が嘘だったら、どこに言えばいいですか

まず登録簿で確かめてください。JAB検索・IAF CertSearchのどちらにも無くても、公表を希望していない・海外認定の認証機関・時間差など、取得していても載らない理由が5つあります。会社に認証機関名と登録番号を尋ねて答えられないときに初めて疑う段階です。虚偽と分かった場合、認証機関のロゴや認定シンボルの不正使用はその認証機関・認定機関に、求人票の虚偽表示はハローワークや求人媒体の窓口に伝えるのが筋です。

ISOを持っていない会社は、品質管理が弱いということですか

そうは読めません。うちの集計では、会社サイトにISOの規格番号を書いている会社は全体の11.1%で、業種でいえば製造業22.4%に対して医療・福祉は1.4%、規模でいえば従業員10人未満は1.9%です。ISOは取引先や入札の要件として取るものなので、要件が無い業種・規模では持っていないのが普通です。品質を見るなら、業種ごとの許認可や、会社の事業内容を無料で調べる方法で書いた登記の目的欄と実際の事業の一致のほうが先です。

「ISO取得」と「ISO準拠」「ISO対応」は同じですか

違います。「取得」は認証機関の審査に通って登録されていること、「準拠」「対応」は規格の内容に沿って運用している、という自己申告で、第三者の証明はありません。JABの説明にある「自己適合宣言」に近い位置づけです。登録簿で確認できるのは「取得」だけです。

認証は一度取れば、ずっと有効ですか

有効ではありません。認証機関のルールで毎年の維持審査があり、それを受け続けないと保てません。定期的に更新審査もあります。会社サイトの登録証画像は失効後も残ることがあるので、「現在有効か」は登録簿で見てください。認証機関の登録組織検索やISMS-ACの検索は現在有効な組織を載せています。

まとめ

参照した一次資料

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

← お役立ち記事一覧へ