✍ 古家あきら | 2026-10-01 更新

家族手当の相場 — 会社サイト3.1万社のうち書いているのは4,162社(13.4%)。金額まで書いた会社では配偶者1万円・子ども5,000円が中央値

先に結論です。会社の公式サイトに金額まで書かれていた家族手当は、配偶者で月1万円、子ども1人で月5,000円が真ん中の値でした。ただし、家族手当そのものを書いている会社は7〜8社に1社しかなく、書いていても金額まで載せているのはその2割弱です。家族手当は法律で支給が義務づけられた手当ではないので、「ある・ない」「いくら」「誰に」はすべて会社次第です。

しょくばログという会社データベースを運営していると、会社の公式サイトに載っている募集要項や福利厚生のページを毎日のように読むことになります。そこで、保存している会社サイトのテキスト31,159社分を「家族手当」「扶養手当」で検索しました。どちらかに触れていたのは4,162社(13.36%)。そのうち、手当の名前のすぐ後ろに金額が書かれていたのは751社(18.0%)でした。

この記事の数字は、すべてこの31,159社の会社サイトを集計したものです。大手の求人サイトや公的統計の平均ではありません。「自社サイトに家族手当を書いている会社」の実際の書き方、として読んでください。

家族手当とは何か

家族手当は、配偶者や子どもなど、養っている家族がいる従業員に上乗せして払う手当です。会社によって「扶養手当」「扶養家族手当」「家族・扶養手当」と呼び方が違いますが、中身はほぼ同じです。集計でも「家族手当」が3,434社、「扶養手当」が791社で、両方を書いている会社もありました。

大事なのは、家族手当は労働基準法などで支給が義務づけられた手当ではないことです。通勤手当と同じく、会社が自分で決めて就業規則や賃金規程に書く手当です。ですから、ある会社では「配偶者2万円・子ども1人1万6,000円」、別の会社では「扶養家族1人当たり3,000円」、さらに別の会社では支給なし、ということが普通に起こります。

給与欄全体の読み方は求人の給与欄の見方に、福利厚生の項目の調べ方は会社の福利厚生を調べる方法にまとめています。

家族手当の相場:会社サイトに書かれた金額

家族手当・扶養手当の直後に「配偶者」「子ども」と金額が並んで書かれていた会社を数えました。1社につき最初に書かれた金額を1つだけ使い、月1,000円〜10万円の範囲から外れる値は読み取りの誤りとして除いています。

配偶者の家族手当

配偶者の金額が読み取れたのは399社です。

「配偶者1万円」がおよそ3社に1社で、事実上の目安になっています。一方で、2万円を出す会社も7%ありました。

子どもの家族手当

子どもの金額が読み取れたのは430社です。多くは「子ども1人につき」「第1子」の金額です。

子どもは「1人5,000円」が3社に1社。配偶者のおよそ半額に置いている会社が多い、という形です。

「1人当たり」で一律に決めている会社もある

配偶者と子どもを分けずに、「扶養家族1人当たり○円」と一律で書く会社もあります。手当の名前のすぐ後ろにある最初の金額だけを拾うと602社で、中央値は月10,000円、真ん中の半分は月5,000円〜11,125円でした。ここには配偶者の額も子どもの額も「1人当たり」の額も混ざっているので、相場というより「最初に目に入る金額の目安」です。

実際の書き方は、たとえば次のようなものでした(個社が特定できないよう、言い回しを少し整えています)。

家族手当を書いている会社の割合:業種別

家族手当・扶養手当に触れていた会社の割合を、業種(日本標準産業分類の大分類)ごとに出しました。保存している会社サイトが300社以上ある業種だけを載せています。

製造業と建設業が2割近くでいちばん高く、宿泊・飲食や生活関連サービスは1割に届きません。家族手当は、長く勤めて家族を持つ正社員を前提にした「昔ながらの賃金体系」に残っていることが多い手当なので、その体系を持つ会社が多い業種ほど割合が高くなる、と読むのが自然です。

家族手当がある会社は、住宅手当も書いていることが多い

もう1つ目立ったのが、住宅手当との重なりです。家族手当・扶養手当を書いていた4,162社のうち、住宅手当・住居手当・家賃補助にも触れていたのは51.3%。家族手当を書いていない会社では、住宅手当系に触れていたのは5.8%でした。

家族手当と住宅手当は、どちらも「生活費を補う手当」としてセットで置かれやすい、ということです。逆に言えば、片方があるのにもう片方が見当たらない会社は、その理由(基本給に含めた、廃止した等)を面接で聞いてみる価値があります。

家族手当で応募前に確かめる4つのこと

会社サイトの書き方を見ていると、金額よりも「誰に払うか」の条件のほうが会社ごとの差が大きいと感じます。応募前・内定前に確かめたいのは次の4つです。

1. 支給の条件(扶養に入っているか・世帯主か)

家族手当の前後に「扶養」という言葉があった会社は392社(9.4%)ありました。「扶養者に限る」「扶養要件を満たす場合に限る」と書く会社が多い一方で、「扶養でなくとも支給」と明記する会社もあります。共働きで配偶者に収入がある場合、同じ会社でも支給されないことがあるので、条件は必ず確認してください。「配偶者のいる世帯主に支給」のように、世帯主かどうかを条件にする会社もあります。

2. 人数の上限と、子どもの年齢

「最大5名まで」「配偶者及び子3名まで」のように人数に上限を置く会社があります。子どもの年齢も同じで、家族手当の直後に「18歳未満」「満22歳以下」など年齢の区切りを書いていた会社が102社(家族手当を書いた会社の2.5%)ありました。子どもが多い家庭や、子どもが高校・大学の年齢に近い家庭ほど、この条件で受け取る額が大きく変わります。

3. 「当社規定による」としか書いていない場合

家族手当の前後に「規定」「規程」とだけ書いて金額を載せていない会社が453社(10.9%)ありました。金額を書かない会社が悪いわけではありませんが、規程の額は面接や内定時の労働条件通知書で確かめられます。聞きづらければ「家族構成が○人の場合、手当はいくらになりますか」と具体的に聞くと答えてもらいやすいです。

4. 正社員以外にも払われるか

会社サイトでは「扶養手当(正社員)」のように、対象を正社員に限っている書き方も見かけます。ただ、パートタイム・有期雇用労働法8条は、正社員と非正規の待遇差を「不合理なもの」にしてはいけないと定めています。扶養手当については、2020年10月15日の最高裁判決(日本郵便事件)が、継続的な勤務が見込まれる契約社員に支給しないのは不合理だと判断しました。契約社員やパートで応募する場合も、対象かどうかは聞いてかまいません。

家族手当は残業代と最低賃金の計算に入らない

家族手当で見落としやすいのが、残業代の計算の土台に入らないことです。労働基準法37条5項と施行規則21条は、割増賃金(残業代)の計算の基礎から家族手当を外してよいとしています。つまり、月給25万円のうち家族手当が2万円なら、残業代は残りの23万円をもとに計算されることがあります。

ただし、外してよいのは扶養家族の人数などに応じて払う手当です。家族がいるかどうかに関係なく全員に同じ額を払うものは、名前が「家族手当」でも外せない、というのが厚生労働省の解釈です。

最低賃金の計算にも家族手当は入りません(最低賃金法施行規則1条)。「月給には家族手当が含まれていて、それを除くと最低賃金を下回る」という求人もありえるので、最低賃金との比べ方は求人の時給が最低賃金を下回っていないか確かめる方法で確認してください。

年俸制の求人では、家族手当が年俸に含まれているのか別枠なのかも書き方がまちまちです。年俸制の見方は年俸制の求人の見方にまとめています。賞与や昇給と合わせて年収で比べたいときは中小企業の賞与・昇給の相場も参考になります。

集計の方法

よくある質問

家族手当の相場はいくらですか?

しょくばログが会社公式サイトを集計したところ、金額まで書かれていた会社では、配偶者が月1万円(399社の中央値)、子ども1人が月5,000円(430社の中央値)でした。配偶者1万円・子ども5,000円は、それぞれ3社に1社が採用している金額です。ただし自社サイトに書いている会社の集計で、すべての会社の平均ではありません。

家族手当がない会社は多いですか?

会社公式サイトで家族手当・扶養手当に触れていたのは31,159社中4,162社(13.36%)でした。書いていない会社に手当がないとは限りませんが、少なくとも「アピールする項目」として載せている会社は7〜8社に1社です。業種では製造業・建設業が約18%で高く、宿泊・飲食サービス業は約8%でした。

共働きでも家族手当はもらえますか?

会社の規程次第です。「扶養に入っている配偶者に限る」とする会社が多い一方、「扶養でなくとも支給」と書く会社もあります。配偶者に収入がある場合は、面接か労働条件通知書で支給条件を確かめてください。

家族手当は残業代の計算に含まれますか?

扶養家族の人数などに応じて払う家族手当は、残業代(割増賃金)の計算の基礎から外してよいことになっています(労働基準法37条5項・施行規則21条)。家族の有無に関係なく一律に払う手当は、名前が家族手当でも外せないとされています。

パートや契約社員にも家族手当は出ますか?

会社によります。ただ、パートタイム・有期雇用労働法8条は正社員との不合理な待遇差を禁じており、2020年10月15日の最高裁判決(日本郵便事件)では、継続的な勤務が見込まれる契約社員に扶養手当を払わないのは不合理と判断されました。対象かどうかは遠慮せず確認してかまいません。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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