✍ 古家あきら | 2026-10-01 更新
全東信の関連会社「東信クレジットサービス」(大阪)が破産開始決定。カード売上の請求事務を任せている店が確かめたいことと、同じビルに登記された5法人・社名に「クレジット」が入る350法人(DB実測)
先に結論です。飲食店・サービス業・物販業向けにクレジットカード売上の請求事務を代行していた株式会社東信クレジットサービス(大阪市中央区)が、2026年9月16日に大阪地裁から破産開始決定を受けました。 負債は調査中と報じられています。同社は2017年12月に事業を関連会社の株式会社全東信へ譲渡しており、その全東信も2026年7月に破産開始決定を受けています。
しょくばログという会社データベースを運営していると、「お金の流れの途中にいる会社が止まったとき、その先の店はどうなるのか」という問いによく行き当たります。カード決済は、お客さんがカードで払ってから店の口座にお金が入るまでに、いくつかの会社を通ります。その途中の会社が止まると、店は売上が入らないという形で影響を受けます。この記事では、報道で確かめられる事実を押さえたうえで、カード決済を外部に任せている店が何を確かめればよいかを書きます。個別の会社を責める記事ではありません。
出典:(株)東信クレジットサービス(大阪)が破産開始決定(東京商工リサーチ・2026年9月30日)
出典:9年前に全東信に事業譲渡、関連会社が破産開始決定 大阪の東信クレジットサービス(産経新聞・2026年9月30日)
出典:【大阪】東信クレジットサービスが破産 全東信が営業権を約180億円で買収した関連会社(JC-NET・2026年9月30日)
何が起きたのか(報道で確認できる事実)
報道で確認できるのは次のとおりです。
- 会社:株式会社東信クレジットサービス。本店は大阪市中央区島之内
- 設立:1998年5月。資本金は1万円(東京商工リサーチ)
- 事業:飲食業者・サービス業者・物販業者向けの、クレジットカード売上の請求事務の代行
- 手続き:2026年9月16日、大阪地裁から破産開始決定。負債は調査中
- 全東信との関係:2017年12月に事業を全東信へ譲渡。全東信はこの事業で2020年3月期に売上高約82億円を計上していた
- 全東信の状況:新型コロナの感染拡大で飲食店の休業が広がり業績が悪化。2026年7月6日に破産開始決定を受け、負債は1151億6400万円と報じられている
- 営業権:全東信が2017年に買い取った営業権は約180億円と報じられている(JC-NET)
報道では、全東信の破産の経緯についてさらに踏み込んだ指摘もありますが、この記事では手続きの事実と、店の側でできる確認に絞ります。
しょくばログの台帳で見えること
ここからは、国税庁の法人番号データをもとにした、しょくばログの台帳で確かめた内容です(2026年10月1日時点)。
本店のビルには5つの法人が登記されている
東信クレジットサービスの本店と同じ住所(大阪市中央区島之内1丁目14番14号 東信ビル)で登記されている法人を数えると、5法人ありました。
- 株式会社東信クレジットサービス(登記は活動中)
- 株式会社全東信(登記は活動中)
- 株式会社全東信システムソリューションズ(登記は活動中)
- 全東信飲食事業協同組合(登記は活動中)
- ほかに有限会社が1法人(2025年4月に登記閉鎖。今回の件との関係は不明)
ここで見てほしいのは、破産開始決定を受けた2社とも、台帳では「活動中」のままだという点です。破産の手続きが始まっても、手続きが終わって登記が閉じるまでは、法人番号の公表データ上は閉鎖になりません。全東信は7月に破産開始決定を受けていますが、3か月近くたった今も台帳上の見た目は変わっていません。
つまり、「法人番号で調べて活動中だったから大丈夫」とは言えないということです。このずれは倒産統計に映らない会社の終わりでも書きました。同じ住所に関連会社が並ぶ形はめずらしくなく、同じ住所の2社が同時に破産した駐車場運営会社の例もあります。
なお、同じビルにある他の法人が今回の破産とどう関わるかは、報道では確認できません。住所が同じというだけで、状態を決めつけないでください。
社名に「クレジット」が入る法人は全国350、閉鎖率24.3%
社名に「クレジット」を含む法人を台帳で数えると、累計350法人、うち活動中265、閉鎖85(閉鎖率24.3%)でした。社名で拾った概数なので、カード会社、信販、ローン、名前だけが似た別業種が混ざります。
- 活動中の所在地は東京都が118(44.5%)と半分近くを占め、次いで大阪府19、神奈川県・福岡県が各11
- 活動中の会社の種類は、株式会社134、有限会社77、合同会社24
- 閉鎖85のうち44は「登記官による閉鎖」で、長く登記の更新がない会社が整理された形でした
あわせて社名に「決済」を含む法人は累計30(活動中27)、「カード」を含む法人は累計749(活動中614、閉鎖率18.0%)でした。決済の仕事をしている会社の多くは、社名に「決済」と入れていません。社名で業種を見分けるのは難しいと考えておくほうが安全です。
カード決済を任せている店が確かめたいこと
1. 自分の店の売上は、どの会社を通って入ってくるか
カードの売上は、カード会社から直接入る場合と、決済代行会社を通して入る場合があります。契約書や入金明細の振込元を見て、途中にどの会社が入っているかを法人番号まで控えておくと、何かあったときにすぐ確かめられます。調べ方は法人番号の調べ方にまとめています。
2. 入金のサイクルが急に変わっていないか
入金日が遅れる、分割される、連絡なく振込元が変わる。こうした変化は、途中の会社に何かが起きているサインのことがあります。毎月の入金予定と実際の入金を、一度並べて見ておくと安心です。
3. 早く入金してもらう仕組みの、仕組みそのもの
売上を早く受け取れるサービスは、資金繰りの助けになります。一方で、まだ入っていないお金を途中の会社が立て替えている形になるので、その会社が止まると、立て替えの分も宙に浮きます。取引先の信用の見方は取引先の信用の調べ方が参考になります。
4. 破産の知らせが届いたら
債権者として届け出が必要かどうかは、破産管財人からの案内や官報で確かめます。破産・民事再生などの手続きの違いは倒産の種類の違いで整理しています。取引先が今も動いているかの確かめ方は会社の実在と倒産の確かめ方にあります。
よくある質問
東信クレジットサービスと全東信は同じ会社ですか?
別の法人です。法人番号も別で、しょくばログの台帳では同じビルに本店が登記されています。報道によると、2017年12月に東信クレジットサービスが全東信へ事業を譲渡しました。
台帳で「活動中」なのに、なぜ破産なのですか?
破産の手続きが始まっても、手続きが終わって登記が閉じるまでは、法人番号の公表データでは閉鎖になりません。最新の状況は、報道や官報、取引先からの連絡で確かめてください。
社名に「東信」が入る会社はすべて関係がありますか?
いいえ。「東信」という名前は全国で広く使われていて、たとえば和歌山市にも社名の似た会社があります。社名が似ているだけで関係があると決めつけないでください。 取引先は法人番号で確かめるのが確実です。
カード決済の代行会社を選ぶとき、何を見ればよいですか?
入金のサイクル、手数料、入金の振込元、運営会社の法人番号と所在地をまず確かめます。そのうえで、売上を立て替える仕組みかどうかと、止まったときに売上がどう扱われるかを契約書で読んでおくと安心です。
まとめ
- クレジットカード売上の請求事務を代行していた東信クレジットサービス(大阪市中央区)が、2026年9月16日に大阪地裁から破産開始決定を受けた。負債は調査中
- 同社は2017年12月に事業を全東信へ譲渡しており、全東信も2026年7月に破産開始決定(負債1151億6400万円)を受けている
- 本店のビルには5法人が登記されており、破産開始決定を受けた2社とも、台帳上はまだ「活動中」のまま
- 社名に「クレジット」が入る法人は全国350、閉鎖率は24.3%。社名だけで業種や関係を判断するのは難しい
- カード決済を任せている店は、売上の通り道、入金のサイクル、立て替えの仕組みを一度確かめておく
しょくばログでは、会社名や法人番号から、登記の状態や所在地を無料で調べられます。取引先や応募先を確かめるときに使ってください。