✍ 古家あきら | 2026-09-30 更新
圧力計メーカーのトミタ計器工業(東京・杉並)が破産開始決定。前身は1947年創業。計器を使う工場・取引先が確かめたいことと、社名に「計器」が入る426法人(DB実測)
先に結論です。東京都杉並区の圧力計メーカー、トミタ計器工業株式会社が、2026年9月16日に東京地裁から破産手続きの開始決定を受けました。 報道によると、前身は1947年に大阪市で創業した計量器の販売店で、油圧・空圧機器、工作機械、ポンプ、コンプレッサー、食品、自動車、化学プラントなど、幅広い分野に圧力計を納めていました。執筆時点で、負債の額は報じられていません。
しょくばログという会社データベースを運営していると、「長く続いた部品メーカーが止まったとき、それを使っている側は何に困るのか」という問いによく行き当たります。圧力計は、工場の配管や機械に取り付けられ、何年も使われる計器です。売った会社がなくなっても、計器は現場に残ります。この記事では、報道で確かめられる事実を押さえたうえで、計器を使っている工場・取引先・働いていた人が何を確かめればよいかを書きます。個別の会社を責める記事ではありません。
出典:【東京】トミタ計器工業が破産開始決定 圧力計メーカー、前身は1947年創業(JC-NET・2026年9月30日)
出典:トミタ計器工業(株)|東京都杉並区(東京経済ニュース・2026年9月28日)
何が起きたのか(報道で確認できる事実)
報道で確認できるのは次のとおりです。
- 会社:トミタ計器工業株式会社(東京都杉並区)。圧力計の製造・販売
- 手続き:2026年9月16日、東京地裁から破産手続きの開始決定
- 今後の日程:破産債権の届出期間は10月14日まで。財産状況報告集会などは12月11日午前10時の予定
- 沿革:1947年に大阪市で計量器販売の「冨田商店」を設立。1957年に圧力計を作る「淀川計器製作所」を設立。1964年に東京営業所を開き、1976年にその営業所をトミタ計器工業に改組。1978年に隔膜式圧力計の独自の製造方法を開発し、2000年に杉並区へ移転
- 負債額・従業員数・破産に至った経緯:執筆時点の無料で読める報道には出ていません
しょくばログの台帳では、この会社(法人番号2011301004744)は2026年9月30日時点で登記が「活動中」のまま載っています。破産の開始決定が出ても、手続きが終わるまで登記は閉じません。登記が活動中であることは、営業していることの証明にはなりません。 この点は倒産統計に映らない会社の終わり方でも書きました。同じ住所に登記されている法人は、この会社1社だけでした。
台帳で数えた、社名に「計器」が入る法人
しょくばログの台帳(国税庁の法人番号データ、全国579万件)で、社名に「計器」が入る法人を数えました。
- 社名に「計器」が入る法人:426(うち活動中356、閉鎖70)
- 閉鎖率:16.4%(台帳全体の閉鎖率は13.2%)
- 株式会社:272法人のうち閉鎖43(15.8%)
- 有限会社:110法人のうち閉鎖26(23.6%)
- 活動中の多い都道府県:東京都115、大阪府49、神奈川県18、愛知県16、兵庫県15、長野県13
- 閉鎖の理由:清算の結了など40、登記官による閉鎖23、合併7
活動中の356法人のうち、東京と大阪の2都府県で164法人、およそ46%を占めます。トミタ計器工業も大阪で生まれて東京に拠点を移した会社でした。計器の会社は、ものづくりの集まる大都市圏に固まっていることが分かります。
閉鎖の理由を見ると、合併による閉鎖が7件あります。計器のような専門の小さな市場では、つぶれるだけでなく、同業に吸収されて社名が消える終わり方もあるということです。社名に「計測」が入る法人も数えると629で、閉鎖率は17.3%でした。
なお、登記の閉鎖は、休眠会社の一斉整理などで数が大きく動くことがあります。ここで使っているのは「今の時点で何割が閉じているか」という比率だけで、年ごとの増減の比較には使っていません。
計器を使っている工場・取引先が確かめたいこと
1. 取り付けている計器のメーカーと型番を洗い出す
まず、自社の設備にどのメーカーの圧力計が付いているかを把握します。長く使う計器ほど、誰が買ったのか、どこから買ったのかが分からなくなりがちです。台帳や点検記録、計器本体の銘板を確かめ、交換品を選ぶための情報(測れる範囲、接続部の形、接液部の材質など)を控えておくと、次の手配が早くなります。
2. 修理・点検・校正の窓口を見直す
圧力計は、使っているうちに表示がずれることがあり、定期的な点検や校正をしている現場も多いはずです。メーカーに修理や校正を頼んでいた場合、その窓口は止まっている可能性があります。販売店や商社を通して買っていたなら、まず販売店に相談するのが早道です。代わりの校正先や交換品を探してもらえることがあります。
3. 代わりの計器を選ぶときは「同じ形」を確かめる
隔膜式の圧力計のように、測る液体に合わせて材質や構造を選ぶ計器は、別のメーカーの品に替えるときに注意が要ります。形が合わない、材質が液体に合わないといったことがないよう、取り付け先の条件を先に整理してから選ぶのが安全です。予備の在庫が手元にあるなら、交換の計画が立つまで大事に使ってください。
4. 代金の支払い・受け取りが残っている場合
この会社に部品や材料を納めていて、代金を受け取っていない会社は「破産債権」の届出の対象になりえます。報道では、届出期間は10月14日までとされています。通常は裁判所や破産管財人から通知が届くので、届いた書類の期限を必ず確認してください。手続きの種類ごとの違いは破産・民事再生・会社更生・特別清算の違いにまとめています。
働いていた人が確かめたいこと
給料や退職金が支払われていない場合、国の「未払賃金立替払制度」の対象になることがあります。窓口は労働基準監督署です。雇用保険の手続きのために、離職票が届いているかどうかも確認しておきましょう。次の職場を探すときは、応募先の会社が実在し、倒産していないかを確かめておくと安心です。やり方は会社が実在するか・倒産していないかの確認方法に書きました。
長く続いた会社でも止まることがある
この会社の歴史は、前身から数えると80年近くになります。それでも止まりました。創業が古いことは、今の経営が安定していることの証明にはなりません。 2026年に入ってからの老舗企業の倒産の傾向は業歴100年超の「老舗倒産」112件、過去最多ペースで、設立年ごとの目安は設立年から見る「老舗」「中堅」「新興」の目安で取り上げています。取引先の状態を普段から確かめる方法は取引先の信用の調べ方にまとめました。
よくある質問
トミタ計器工業の負債はいくらですか?
執筆時点(2026年9月30日)で無料で読める報道には、負債額は出ていません。額が分かるのは、破産管財人の報告や信用調査会社の続報を待つ必要があります。
使っている圧力計は、そのまま使い続けてよいですか?
計器そのものが急に使えなくなるわけではありません。ただ、メーカーの修理や校正が受けられなくなる可能性があるので、点検の時期が近いものから、代わりの校正先や交換品の手配を考えておくと安心です。
前身の「冨田商店」や、似た名前の会社とは関係がありますか?
報道では、前身が1947年に大阪市で設立された「冨田商店」だとされています。それ以外に、似た名前の会社との関係を示す情報は報道にありません。社名が似ているだけで関係があると決めつけないでください。 どの会社と取引しているかは、法人番号で確かめるのが確実です。やり方は法人番号の調べ方にあります。
登記が「活動中」なら、会社は動いていると考えてよいですか?
いいえ。破産の手続き中でも、手続きが終わるまで登記は閉じないため、台帳上は「活動中」のまま見えます。最新の状況は、報道や官報、取引先からの連絡で確かめてください。
まとめ
- 杉並区の圧力計メーカー、トミタ計器工業が2026年9月16日に破産手続きの開始決定を受けた。前身は1947年創業
- 社名に「計器」が入る法人は全国426、閉鎖率は16.4%で、台帳全体(13.2%)より高い。活動中の約46%が東京と大阪に集まる
- 計器を使う側は、型番の洗い出し、修理・校正の窓口の見直し、代わりの品の条件整理を早めに
- 代金が残っている取引先は、届出期間(10月14日まで)を確認する
しょくばログでは、会社名や法人番号から、登記の状態や所在地を無料で調べられます。取引先や応募先を確かめるときに使ってください。