✍ 古家あきら | 2026-09-24 更新
テレワーク・在宅勤務を導入している会社の調べ方 — 会社サイト32,864社で「在宅勤務」「テレワーク」に触れているのは8.7%だった
先に結論です。テレワーク・在宅勤務ができる会社かどうかは、会社サイトの「福利厚生」「社内制度」の一覧と、募集要項の「勤務地」「就業場所」欄に「在宅勤務制度」「テレワーク可」「リモートワーク」「フルリモート」と書かれているかで、まず見当がつきます。 書かれていなければ、面接で「どの職種で・週何日まで・いつから」を聞くのが確実です。
しょくばログという全国の会社データベースを運営していて、会社サイト(主に採用ページ)のテキストを保存しています。今日数えた時点で32,864社分あり、その中で「テレワーク」「在宅勤務」「リモートワーク」「フルリモート」などの言葉が出てくる会社は2,857社、8.7%でした。
国の調査では、常用雇用者100人以上の企業のうちテレワークを導入している企業は47.3%です(総務省「令和6年通信利用動向調査」)。調査の対象が違うので単純には比べられませんが、「導入している会社」よりも「会社サイトで書いている会社」のほうがずっと少ないことは確かです。つまり、会社サイトに書いていない=テレワークがない、とは読めません。
この記事では、①会社サイト32,864社で見えた「書いている会社」の傾向、②書き方から読める「どこまで在宅できるか」、③書いていない会社で確かめる手順、④2024年4月から求人に加わった「就業場所の変更の範囲」の読み方、の順に整理します。
会社サイト32,864社を数えたら、テレワークに触れる会社は8.7%だった
しょくばログが保存している会社サイトのテキスト32,864社分を対象に、語の出現を数えました(2026年9月24日集計。テキストは2026年6月に取得したもの)。
- 「テレワーク」「在宅勤務」「リモートワーク」「フルリモート」などのどれかが出てくる:2,857社(8.7%)
- 「在宅勤務」:1,273社
- 「テレワーク」:1,163社
- 「リモートワーク」:839社
- 「フルリモート」:250社
- 「リモート勤務」:159社/「在宅ワーク」:122社/「完全在宅」:67社/「リモート可」:61社
「在宅」という言葉だけだと「在宅介護」「在宅医療」まで拾ってしまうので、「在宅勤務」「在宅ワーク」のように働き方を指す言葉に限って数えています。
なお、この32,864社は「会社サイトを持ち、しょくばログがテキストを保存できた会社」で、全国の会社全体の縮図ではありません。サイトを持たない小さな会社は入っていない点に注意してください。
「制度」として書いている会社は729社
2,857社の中身を見ると、書き方はさまざまです。
- 「在宅勤務制度」「テレワーク制度」「リモートワーク制度」「テレワーク勤務制度」と制度名で書いている:729社(触れている会社の25.5%)
- 「在宅勤務手当」「テレワーク手当」「リモートワーク手当」など手当を書いている:270社
- 「フルリモート」「完全在宅」「完全リモート」「原則在宅」など全面在宅を示す言葉がある:309社(全体の0.9%)
- 東京都の「テレワーク東京ルール」実践企業であることを書いている:45社
制度名や手当まで書いている会社は、実際に社員が使っている可能性が高いと見てよいでしょう。手当は在宅で働く日の光熱費や通信費を補うもので、「一律で在宅勤務手当を支給しています」と書く会社もありました。
反対に、言葉が出てくるだけで、社員の働き方とは関係がないケースも混じっています。保存テキストで目についたのは次のようなものです。
- コロナ禍(2020年ごろ)に出した、感染拡大防止のためにテレワークを実施する・延長するというお知らせが残っているだけ(テレワーク関連の語がすべてコロナ関連の文脈に出てくる会社が55社)
- テレワーク導入支援のサービスを売っている、自治体のテレワーク支援サイトへのリンクがあるだけ
- よくある質問で「在宅勤務制度はありますが、現場管理の仕事が中心のため、実際には…」「基本的な勤務形態は事務所での出社となります」とあえて「できない」ことを書いている
最後のような書き方は、むしろ正直な会社のサインです。8.7%という数字は「在宅で働ける会社の割合」ではなく、「会社サイトでテレワークの話題に触れている会社の割合」として読んでください。
採用情報を載せている会社でも12.6%
保存テキストに「募集要項」「応募資格」「仕事内容」「雇用形態」のどれかがある会社(=採用情報を載せている会社)は16,300社でした。
- 採用情報あり16,300社のうち、テレワークに触れる会社:2,051社(12.6%)
- 採用情報なし16,564社のうち、テレワークに触れる会社:806社(4.9%)
採用ページを持つ会社に絞っても、テレワークに触れるのは8社に1社程度です。
また、2,857社のうち1,134社(39.7%)は「フレックス」にも触れていました。在宅勤務とフレックスタイムは、働く場所と時間の柔軟さとしてセットで書かれることが多く、福利厚生欄に「フレックスタイム制(コアタイムなし)」と「テレワーク環境完備」を並べる書き方が典型でした。
業種で見ると、情報通信27.7%・医療福祉2.0%と10倍以上の差
業種別に「テレワークに触れる会社」の割合を出すと、差がはっきり出ます(カッコ内は保存テキストのある会社数。業種が分からない会社は除いています)。
- 情報通信(2,237社):27.7%(全面在宅の言葉あり3.0%)
- 学術研究・専門技術サービス(1,485社):20.1%(同2.6%)
- 金融・保険(564社):11.7%
- 不動産(529社):10.8%
- 製造(6,905社):5.8%
- 卸売・小売(1,569社):5.2%
- 教育・学習支援(346社):4.6%
- 建設(3,618社):4.5%
- 生活関連・娯楽(483社):3.3%
- 宿泊・飲食サービス(855社):3.3%
- 運輸・郵便(1,033社):2.1%(全面在宅の言葉あり0社)
- 医療・福祉(3,474社):2.0%
パソコンで完結する仕事が多い業種ほど高く、現場・対面・運転が仕事の中心になる業種ほど低い、という分かりやすい結果です。ただし、製造や建設でも設計・事務・営業などの職種だけ在宅可という会社は珍しくありません。保存テキストでも、製造業の会社が福利厚生に「リモートワーク(※諸条件あり)」と書いている例がありました。業種が低いから諦める、ではなく、自分が応募する職種で使えるかを見るのが大事です。業種の調べ方は会社の業種を調べる方法にまとめています。
地域では東京17.4%、東京以外は5.6%
- 東京都(8,747社):17.4%
- 大阪府(3,160社):8.9%
- 埼玉県(1,010社):8.3%
- 神奈川県(1,615社):7.7%
- 愛知県(2,412社):7.5%
- 京都府(916社):6.6%
- 北海道(1,177社):5.5%
- 兵庫県(1,315社):4.6%
- 広島県(1,055社):3.9%
- 東京都以外の合計(24,117社):5.6%
東京が抜けて高いのは、情報通信の会社が集まっていることに加え、通勤距離が長いこともありそうです。会社の種類では、株式会社(27,142社)9.8%、合同会社(306社)9.5%に対し、有限会社(1,178社)は1.8%でした。
自社サイトの求人一覧では、タイトル・勤務地に在宅を書く求人は11件
しょくばログが会社サイトから集めた求人6,735件(2026年6月取得)で、職種名か勤務地に「在宅」「リモート」「テレワーク」が入っているものは13件、そのうち「在宅介護支援事業」のように働き方と関係ないものを除くと11件でした。「【完全在宅勤務】〇〇講座の講師」「SE、プログラマ(本社、フルリモートワーク)」「営業職(在宅勤務併用)」といった書き方です。
職種名や勤務地の欄にまで在宅を書く求人はごく一部で、多くの会社は本文の福利厚生や勤務条件の欄に書いています。求人を探すときは、タイトルだけで判断しないほうが安全です。求人票の各欄の読み方は求人票の見方を参考にしてください。
書き方から読める「どこまで在宅できるか」
「テレワークあり」と書いてあっても、実際の在宅の度合いは会社ごとに大きく違います。保存テキストの書き方を並べると、おおむね次の段階に分かれます。
- 全面在宅:「フルリモート」「完全在宅」「完全リモート」。出社はほぼない
- 日数の目安あり:「週に2-3日在宅勤務」「リモートワーク可(目安:月の半分まで)」「オフィス・在宅ハイブリッド勤務」
- 条件付き:「慣れたら週2~3日在宅勤務も」「リモートワーク(※諸条件あり)」のほか、研修期間や部署・職種で対象を分ける書き方
- 制度はあるが限定的:「在宅勤務制度あり」とだけ書き、対象や日数は書いていない
調べる側が気をつけたいのは、条件付きの書き方です。「慣れたら」のような条件がある場合、入社直後はしばらく出社が中心になると考えておいたほうが安全です。子育てや介護、通勤の事情でテレワークが入社の条件になる人は、いつから・週何日まで・誰の承認で使えるのかを必ず確かめてください。
書いていない会社でテレワークの有無を確かめる手順
会社サイトに書いていない会社のほうが圧倒的に多いので、多くの場合は自分で確かめることになります。次の順番がおすすめです。
1. 福利厚生・制度一覧と「よくある質問」を見る
書いている会社の多くは、福利厚生・社内制度の一覧か、採用ページの「よくある質問」に載せています。「Q.在宅勤務はできますか?」という形で、できる場合もできない場合も答えている会社があります。福利厚生欄の読み方は会社の福利厚生を無料で調べる方法にまとめています。
2. 「働き方改革」「女性活躍」「くるみん」などのページを見る
テレワークは、育児・介護との両立支援の一つとして書かれていることがよくあります。保存テキストでも「フレックスやテレワークが可能な職場環境を整備し、子育て中の女性でも働きやすい職場を作り」という書き方が見られました。国の認定マークを持っている会社は、取り組みのページが別に用意されていることが多いので、企業の認定マーク一覧もあわせて見てください。
3. 求人サイトの「リモートワーク可」タグは本文で確かめる
大手の求人サイトには「リモートワーク可」「在宅勤務OK」のような検索条件があります。これは求人ごとに付けるタグなので、会社サイトに書いていなくても付いていることがあります。ただ、全面在宅なのか、週1日だけなのか、研修後なのかはタグでは分かりません。必ず求人本文の勤務地・勤務時間の欄で確かめてください。
4. 面接で「職種・日数・開始時期」を具体的に聞く
一番確実なのは面接で聞くことです。「テレワークはできますか」だけだと「制度はあります」で終わりがちなので、「この職種の方は、実際に週何日くらい在宅されていますか」「入社後いつから使えますか」と、実際の運用を聞くのがコツです。聞きにくいと感じる場合の聞き方は面接前5分でできる会社研究チェックリストでも触れています。
2024年4月からは「就業場所の変更の範囲」も見る
2024年4月1日から、求人の募集時と労働契約を結ぶときに明示する労働条件に、「就業の場所の変更の範囲」「従事すべき業務の変更の範囲」が加わりました(職業安定法施行規則・労働基準法施行規則の改正)。入社直後の勤務地だけでなく、将来どこまで勤務地が変わりうるかを書く決まりです。
この欄にテレワークの場所を書いている会社があります。保存テキストでも、次のような書き方が見られました。
- 「変更の範囲:会社の定める場所(リモートワークを行う場所を含む)」
- 「(雇入れ直後)弊社指定場所及び労働者の自宅」
- 「【変更の範囲】当社および出向先にて定める拠点およびテレワーク実施場所」
こうした書き方は、就業場所の変更の範囲にテレワークの場所を含めていることを示しています。今回の集計では、「変更の範囲」の近くに自宅・在宅・テレワーク・リモートの語がある会社は35社、「勤務地」「就業場所」の欄に在宅・自宅・リモートを書く会社は48社でした。まだ少数ですが、求人票の中で一番「約束」に近い欄なので、ここに書いてあれば判断材料として強いと言えます。
勤務地の「変更の範囲」の読み方全般は、転勤があるかを調べる方法で詳しく書いています。
よくある質問
会社サイトにテレワークの記載がなければ、テレワークはできない会社ですか
いいえ、そうとは限りません。総務省の調査では常用雇用者100人以上の企業の47.3%がテレワークを導入していますが、しょくばログが保存している会社サイトでテレワークに触れているのは8.7%でした。導入していても会社サイトに書かない会社は多いので、書いていない会社は「分からない」と考え、面接で確かめるのが確実です。
「在宅勤務制度あり」と書いてあれば、入社してすぐ在宅で働けますか
会社によります。保存テキストでも「慣れたら週2~3日在宅勤務も」「(※諸条件あり)」と条件を付ける会社がありました。入社後の研修期間は出社、職種や部署によっては対象外、ということもよくあります。入社前に、いつから・週何日まで使えるかを確認してください。
テレワークを導入している会社が多い業種はどこですか
会社サイト32,864社の集計では、テレワークに触れている会社の割合は、情報通信27.7%、学術研究・専門技術サービス20.1%、金融・保険11.7%が高く、運輸・郵便2.1%、医療・福祉2.0%が低い結果でした。ただし、割合が低い業種でも、事務・設計・営業などの職種では在宅可の会社があります。
コロナのときにテレワークをしていた会社は、今もテレワークを続けていますか
続けているとは限りません。総務省の調査でも、テレワークを導入している企業の割合は令和4年から減少傾向です。会社サイトにコロナ禍に出した「感染拡大防止のためテレワークを実施する」という趣旨のお知らせが残っているだけのケースもあるので、お知らせの日付を確認し、今の運用を面接で聞いてください。
フルリモートの求人は、どうやって探せばよいですか
求人サイトの「フルリモート」「完全在宅」の条件で探すのが早道です。会社サイトで「フルリモート」「完全在宅」などを書いている会社は32,864社中309社(0.9%)と少なく、情報通信や専門サービスの会社に集まっていました。応募前には、出社が必要な場面(入社時の研修、月1回の全体会議など)と、住む場所の条件があるかも確かめておくと安心です。
まとめ
- テレワーク・在宅勤務の有無は、会社サイトの福利厚生・制度一覧、よくある質問、募集要項の勤務地欄でまず見当をつける
- 会社サイト32,864社のうち、テレワークに触れている会社は8.7%、制度名まで書いている会社は729社、全面在宅を示す言葉がある会社は309社だけ
- 国の調査(100人以上の企業)では導入率47.3%なので、書いていない=できない、とは読めない
- 業種では情報通信27.7%・専門サービス20.1%が高く、運輸2.1%・医療福祉2.0%が低い。地域では東京17.4%、東京以外5.6%
- 「慣れたら」「諸条件あり」などの条件付きの書き方が多い。面接では「この職種で・週何日・いつから」を具体的に聞く
- 2024年4月からは「就業場所の変更の範囲」に在宅の場所を書く会社も出てきた。求人票でいちばん約束に近い欄として見ておく
副業ができるかどうかも、同じように会社サイトの書き方から見当をつけられます。副業できる会社の調べ方もあわせてどうぞ。会社選びの全体の流れは転職の企業研究のやり方にまとめています。
出典:総務省「令和6年通信利用動向調査の結果(ポイント)」(令和7年5月30日公表。企業調査は常用雇用者100人以上の企業が対象、調査時点は令和6年8月末)/厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」(職業安定法施行規則の一部を改正する省令・令和5年厚生労働省令第89号)/厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」/しょくばログ保存の会社サイトテキスト32,864社・会社サイト掲載求人6,735件(2026年6月取得・2026年9月24日集計。語の出現による集計で、制度の有無や内容を保証するものではありません)