✍ 古家あきら | 2026-09-28 更新

中国に進出する日本企業は1万118社、ピークから3割減。社名に「中国」が付く会社2,068社は7割が中国地方だった(しょくばログDB実測)

先に結論です。中国に拠点を持つ日本企業は、2年で約2割、ピークからは約3割減りました。ただ、ある会社が中国とどれくらい関わっているかは、社名や登記からはほとんど分かりません。 しょくばログの台帳で社名に「中国」を含む法人を数えると2,068社あり、そのうち7割は広島県・岡山県など中国地方の会社でした。取引先や応募先の「中国との関わり」を知りたいときは、社名ではなく、会社自身の開示を見る必要があります。

出典:中国進出の日本企業 ピークから3割減「中国離れ」進む 2026年は1万118社判明(帝国データバンク/PR TIMES、2026年9月28日)

しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、「この会社は海外、特に中国とどれくらい取引があるのか」を知りたい、という声をときどき受け取ります。取引を始める前の確認や、転職先の事業の安定性を見るときの関心だと思います。ここでは、帝国データバンクの発表で確認できる事実と、しょくばログの台帳で数えられる数字だけを並べます。

何が起きたのか(発表で確認できる事実)

帝国データバンクは、自社の企業データベース(約151万社を収録するCOSMOS2と、約200万社の信用調査報告書ファイル)をもとに、中国に現地法人や工場、駐在事務所などを持つ日本企業を集計しています。今回で9回目の調査です。香港・マカオ・台湾は含みません。

2年間の出入りも公表されています。

入ってくる会社より、出ていく会社のほうが3倍以上多かった計算です。

業種と地域の内訳

業種では「製造業」が4,206社で全体の約4割を占め、「卸売業」3,320社、「サービス業」1,213社が続きます。この3業種で全体の約86%です。発表では、ほとんどの業種で数が減り、特に製造業の減少が目立ったとされています。

中国国内の地域では「上海市」が3,961社で最も多くなりました。一方で「北京市」は555社で、2022年と比べて約5割減っています。

売上高の規模で見ると、「1億円未満」が4.8%、「1〜10億円未満」が24.3%でした。発表は、規模の小さい会社が減る一方で、売上高10億円以上の中堅・大企業の比率が高まっていると説明しています。

なぜ「中国離れ」が進むのか

発表から読める流れは、次のように整理できます。

中小企業にとって大事なのは、「中国から撤退した会社が増えた」ことそのものより、取引先の仕入れ先や販売先が、この2年で入れ替わっている可能性があるという点です。自社は中国と直接の取引がなくても、取引先が中国の工場から部品を買っていたり、中国向けに売っていたりすれば、その変化は納期や価格を通じて届きます。

しょくばログの台帳で数えてみた

しょくばログは、国税庁の法人番号公表データ(2026年5月末までの更新分)をもとに、閉鎖した会社を含む5,751,223法人を収録しています。このうち登記が閉鎖されているのは762,256法人、13.3%です。

ここから、社名に中国に関係しそうな言葉を含む法人を数えました。

社名に「中国」が付く会社は、7割が中国地方

社名に「中国」を含む法人は2,068社でした。所在地を見ると、次のとおりです。

鳥取・島根・岡山・広島・山口の中国地方5県で1,448社、全体の70.0%を占めます。たとえば岡山県の株式会社中国銀行のように、この「中国」は多くの場合、国の名前ではなく地方の名前です。社名だけを見て「中国と取引がある会社だ」と判断すると、ほとんど外れることになります。

中国地方以外にある620社には、中国料理の店、中国語の教室、日中の交流団体、貿易会社などが混ざっています。こちらも社名から事業の中身までは分かりません。

なお、社名に「中国」を含む2,068社のうち、登記が閉鎖されているのは364社、17.6%でした。台帳全体の13.3%より高めですが、中国地方の会社(18.3%)もそれ以外(16.0%)も同じくらいの水準で、「中国」という言葉と閉鎖のしやすさに関係があるとは言えません。

中国の都市名が付く会社は「外国会社」が目立つ

社名に中国の都市名を含む法人も数えました。

「外国会社」とは、海外の会社が日本で商売をするために登記したものです。台帳全体では19,838法人あり、そのうち社名に「公司」を含むものが1,006法人ありました。深センの86社はほぼすべてが外国会社で、中国の会社が日本に拠点を置いている側の数字です。今回の帝国データバンクの調査(日本企業が中国に置く拠点)とは、向きが逆になります。

取引先の「中国との関わり」を外から確かめる方法

社名や登記では分からないとすると、何を見ればよいのか。外から確かめられる順に並べます。

1. 上場企業なら有価証券報告書の「関係会社の状況」。中国の子会社の名前と所在地、出資比率が載っています 2. 会社のサイトの会社概要・沿革・拠点一覧。現地法人や駐在事務所を載せている会社は多くあります 3. 決算公告や決算短信の地域別売上。どの地域でどれだけ売っているかを開示している会社もあります 4. 取引の前なら、直接聞く。主な仕入れ先の国や、代わりの調達先があるかは、取引前の確認として聞いておきたい点です

非上場の会社は1〜3が出ていないことも多く、そのときは4がいちばん確実です。会社の業種や事業の中身を外から調べる方法は、会社の業種の調べ方の記事にまとめています。

よくある質問

社名に「中国」が付く会社は、中国と取引がありますか?

社名からは判断できません。しょくばログの台帳では、社名に「中国」を含む2,068社のうち7割が中国地方5県の会社で、多くは地方名としての「中国」です。似た話として、社名に「日本」や「全国」が付く会社が大企業とは限らないことを、社名の「日本」「全国」を数えた記事で確かめています。

中国から撤退した会社は、経営が危ないのですか?

そうとは言えません。帝国データバンクの発表でも、撤退の背景には生産拠点の移転や、中国での事業の絞り込みがあると説明されています。撤退は経営判断の結果であることが多く、それだけで会社の良し悪しは決まりません。ただし売り先が1つの国に偏っている会社は、その国の事情の影響を受けやすくなります。ナマコ輸出の会社の破産を扱った記事で、売り先の偏りを外から見る視点を整理しています。

取引先が本当にその会社かを確かめるには?

同じ社名の会社は全国に複数あります。今回の「中国」のように、同じ言葉を使っていても所在地も事業もまったく違う会社が並びます。請求書や契約書の所在地か、13桁の法人番号で照合するのが確実です。調べ方は法人番号の調べ方の記事にあります。

外国の会社が日本で増えているかどうかは分かりますか?

しょくばログの台帳で数えられるのは、登記されている外国会社の件数までです。外国人による日本での起業の動きについては、外国人起業の記事で帝国データバンクの別の調査を扱っています。

まとめ

取引先の海外との関わりは、社名ではなく、会社自身が出している開示と、直接の確認で見てください。自社に直接の取引がなくても、取引先の仕入れ先や売り先が変わっていないかを一度確かめておくと、納期や価格の変化に早く気づけます。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

← お役立ち記事一覧へ