✍ 古家あきら | 2026-09-27 更新

会社の格付けを調べる方法 — 格付けがある国内の発行体は約1,200、活動中の法人のおよそ4,200に1つ。JCRの事業法人482社を全件数えた

先に結論です。会社の格付けは、格付会社のサイトにある「格付一覧」で社名を探せば無料で分かります。日本の格付会社は金融庁に登録している7社で、なかでも国内企業の格付けが多いのは日本格付研究所(JCR)と格付投資情報センター(R&I)です。

ただし、探す前に知っておいてほしい前提があります。格付けは、ほとんどの会社に「存在しない」ものです。JCRは会社案内で、格付けを公表している日本国内の発行体を「約1,200」としています。しょくばログのデータベースで活動中の法人は5,028,697なので、格付けがあるのはおよそ4,200法人に1つです。上場企業に限っても、東証の内国株式3,894社のうち少なくとも約7割(69%以上)には公表された格付けがありません。

しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、「この会社の格付けはどこで見られますか」という問い合わせをいただくことがあります。調べ方は簡単なのですが、大半の場合、答えは「その会社には格付けがありません」になります。そして、それは悪い知らせではありません。この記事では、調べ方の手順と、JCRの事業法人の格付一覧482社を全件取得して数えた内訳をまとめます。

格付けとは何か — 「借りたお金を約束どおり返せるか」の記号

格付けは、会社が発行する社債や、会社そのものの債務を約束どおり返済できる確実性を、格付会社がアルファベットの記号で示したものです。

JCRの「信用格付の種類と記号の定義」では、長期の格付けを次のように定めています。

AAからBまでは、同じ等級の中での位置を「+」「-」で示します。たとえば「A+」は「Aの中でも上のほう」です。一般にBBB以上が「投資適格」、BB以下が「投機的」と呼ばれます。

このほか、企業が短期の資金調達に使うコマーシャル・ペーパー(CP)には「J-1」「J-2」などの短期格付が付きます。長期と短期は別の記号なので、「J-1+」と「AAA」を比べることはできません。

格付けと「評点」は別物

よく混同されるのが、帝国データバンクや東京商工リサーチの「評点」です。

つまり、格付けは「少数の会社について、誰でも見られる」、評点は「多くの会社について、お金を払えば見られる」という違いです。評点の読み方は帝国データバンク・東京商工リサーチの評点の見方で詳しく書きました。

格付けを調べる手順

手順1 — 格付会社の「格付一覧」で社名を検索する

金融庁の「信用格付業者登録一覧」(令和8年1月13日現在)に載っている格付会社は、次の7社です。

「SF」は証券化商品(ストラクチャード・ファイナンス)専門の会社なので、会社そのものの格付けを探すなら、JCR・R&I・S&P・ムーディーズ・フィッチの5系統を見れば足ります。国内の中堅企業まで含めて格付けが多いのはJCRとR&Iです。

JCRのサイトには「格付一覧」があり、事業法人・金融法人・パブリックセクターなどに分かれています。社名の一部を入れて検索すると、長期格付・見通し(安定的・ポジティブ・ネガティブ)・短期格付が表示されます。登録はいりません。

手順2 — 会社のIRページを見る

上場企業の多くは、IRサイトの「格付情報」「社債情報」のページに、取得している格付けをまとめて載せています。どの格付会社から格付けを取っているかが一度に分かるので、上場企業なら先にIRページを見るのが早いです。上場しているかどうかの確認は会社が上場しているか確認する方法の手順で数十秒で済みます。

手順3 — どこにも無ければ「格付けは無い」と考える

格付一覧にもIRページにも見当たらなければ、その会社は公表された格付けを持っていないと考えてよいです。後で数字で示しますが、これは上場企業でも多数派です。

JCRの事業法人の格付一覧、482社を全件数えた

「格付けがある会社」がどんな会社なのかを具体的に見るため、JCRの格付一覧(事業法人)を2026年9月27日に全17ページ取得し、1社ずつ数えました。

事業法人482社の内訳は次のとおりです。一覧に載っている4桁のコードを、日本取引所グループの上場銘柄一覧(2026年8月末時点)と突き合わせました。

格付けがある会社の8割近くは上場企業

482社のうち370社が上場企業です。格付けは社債を発行して投資家からお金を集めるときに必要になるもので、社債を出す会社の多くは上場企業だからです。

逆から見ると、東証の内国株式3,894社のうち、JCRの事業法人の一覧に載っているのは370社(9.5%)です。金融法人の一覧に載っている上場企業95社を足しても465社(11.9%)です。

JCRは、格付けを公表している国内の発行体(約1,200)の6割以上がJCRから格付けを取得していると説明しています。仮にこの約1,200がすべて上場企業だったとしても、3,894社のうち2,694社(69.2%)には公表された格付けがない計算になります。実際には約1,200には非上場の会社や自治体・大学なども含まれるので、上場企業のうち格付けがない会社は、少なくとも7割近くです。

上場していないのに格付けがある50社

上場していない国内企業で格付けを持つ50社には、共通点があります。一覧を見ていくと、

といった会社が並びます。つまり「非上場だけれど、社債市場からお金を借りる規模の会社」です。なお50社のうち27社は、一覧上は4桁のコードが付いていますが、東証の上場銘柄一覧には載っていませんでした。コードだけで上場企業と判断しないほうが安全です。

大学・病院にも格付けがある

事業法人の一覧には、東京大学や大阪大学などの国立大学法人、私立大学を運営する学校法人、病院を運営する医療法人・社会福祉法人も載っていました。大学や病院も債券を発行して資金を集めることがあり、そのときに格付けを取得するためです。「格付け=株式会社のもの」ではありません。

格付けの分布 — A格が約6割、BB以下は4社だけ

482社の長期格付をアルファベットの等級だけで数えました(+・-は同じ等級にまとめています)。

BB以下の投機的な格付けは482社のうち4社だけでした。社債を出して市場からお金を集められる会社が格付けを取得するので、一覧は自然と上の等級に偏ります。「A格なら平凡」「BBBなら危ない」という読み方はできません。BBBも投資適格で、格付けを持っていること自体がすでに一定の信用の表れです。

格付けがない会社は「危ない会社」ではない

ここまでの数字をまとめると、こうなります。

株式会社だけでも活動中が2,513,796社あります。格付けは、社債やCPで市場からお金を集める会社のための仕組みです。銀行から借りる、自己資金で回す、という普通の会社には、そもそも格付けを取る理由がありません。格付けがないことは、信用が低いことを意味しません。

では、格付けのない会社の信用をどう見るか。無料でできる範囲は取引先の信用を調べる方法で3段階に整理しています。登記や決算公告、有価証券報告書などの公開情報から借入の状況を読む方法は会社の借金・負債を外から調べる方法にまとめました。取引額が大きいなら、信用調査会社のレポートを買うのが次の一手です(費用の目安は信用調査の費用相場)。

格付けを見るときに気をつけること

うちのデータベースでできること・できないこと

しょくばログには格付けのデータはありません。できるのは、会社の正式名称と法人番号、本店所在地、登記上の閉鎖の有無といった基本情報で「格付一覧に載っているのが本当にその会社か」を確かめるところまでです。同じ社名の会社は珍しくないので、格付一覧で見つけた社名と、調べたい会社の本店所在地が一致しているかを確認してください。

よくある質問

会社の格付けは無料で見られますか

見られます。JCRやR&Iなどの格付会社は、格付けの結果を自社のサイトの格付一覧で公開しています。登録もいりません。JCRの場合、より詳しい情報は有料会員向けのサービス(RatingEye)で提供されています。

自分の勤め先や取引先に格付けがあるか分かりません

まず上場しているかを確認し、上場企業ならIRページの「格付情報」を見てください。非上場の会社なら、JCRとR&Iの格付一覧で社名を検索します。どちらにも無ければ、格付けは無いと考えてよいです。格付けを公表している国内の発行体は約1,200なので、無いのが普通です。

格付けがない会社は危ないのですか

そうとは限りません。格付けは社債やCPで市場から資金を集める会社が取得するもので、銀行借入や自己資金で経営している会社には取る理由がありません。上場企業でも少なくとも7割近くには公表された格付けがありません。

BBBの会社は危ないのですか

BBBは「投資適格」の一番下の等級で、JCRの定義では「債務履行の確実性は認められる」とされています。JCRの事業法人482社のうち64社(13.3%)がBBBでした。上位の等級に比べて将来の変化に注意が要る、という意味で、危ない会社という意味ではありません。

格付けと帝国データバンクの評点はどちらを見ればいいですか

目的によります。格付けは少数の大きな会社について無料で見られ、評点は100万社を超える会社について有料で見られます。中小企業の取引先なら、格付けはまず存在しないので、公開情報で基本を押さえたうえで、必要に応じて評点を含む信用調査レポートを使うのが現実的です。

まとめ

参照した一次資料

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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