✍ 古家あきら | 2026-09-29 更新
会社の電話番号の種類(050・0120・03)から読めること — 厚労省サイトに載る10万8,003社の番号を数えたら、050は1.01%、携帯は4.03%だった
結論から言うと、電話番号の種類で読めるのは「会社の規模と働き方の傾向」までで、「怪しいかどうか」は読めません。厚生労働省の職場情報サイト「しょくばらぼ」に電話番号を載せている10万8,003社を数えると、市外局番から始まる固定電話が94.49%、携帯番号(070/080/090)が4.03%、050のIP電話が1.01%、フリーダイヤル(0120/0800)が0.09%でした。050や携帯は従業員の少ない会社・情報通信業・合同会社に偏っていて、登記上の閉鎖率は固定電話の会社(1.70%)より050(1.38%)や携帯(0.74%)のほうがむしろ低めです。
しょくばログという会社データベースを運営していると、「応募しようとした会社の番号が050だった。大丈夫?」「取引先候補の連絡先が携帯番号しかない」という相談をよく受けます。気持ちはよく分かります。ネット上では「050は怪しい」という書き込みも目立ちます。
ただ、ほんとうに050の会社は少ないのか、どんな会社が使っているのかを、実際の数字で確かめた記事は見当たりませんでした。そこで、うちのデータベースに取り込んでいる「しょくばらぼ」掲載企業の電話番号を、先頭の番号で分類して数えてみました。
電話番号そのものの調べ方(公式サイト・iタウンページ・gBizINFOの使い分け)は、会社の公式電話番号を無料で調べる方法にまとめています。この記事は、その続きとして「見つけた番号の種類から何が分かるか」を扱います。
番号の種類と、それぞれの仕組み
最初に、番号の頭の数字が何を意味するかを整理しておきます。
- 市外局番から始まる番号(03・06・0XX など):地域に紐づいた固定電話。東京23区などは03、大阪市などは06のように、番号から場所の見当がつきます
- 070・080・090:携帯電話の番号。場所には紐づきません
- 050:IP電話用の番号。インターネット回線を使う電話で、これも場所には紐づきません。スマートフォンのアプリやクラウド型の電話サービスで使われます
- 0120・0800:フリーダイヤル(着信課金)。かけた側ではなく、受ける会社が通話料を払う番号です
- 0570:ナビダイヤル。全国の窓口を1つの番号にまとめる用途で使われ、かけた側に通話料がかかります
ポイントは、050と携帯番号は「場所に紐づかない」という点です。固定電話の市外局番なら「この会社は本当に東京にあるのか」をある程度照らし合わせられますが、050や携帯ではそれができません。「050は怪しい」と言われる理由の多くは、ここにあります。
10万8,003社の番号を種類別に数えた
使ったのは、厚生労働省が運営するしょくばらぼ(職場情報総合サイト)の公開データのうち、うちのDBで法人番号と照合できた146,479社です。このうち電話番号欄に数字が入っていた10万8,003社を数えました。
結果は次のとおりです。
- 固定電話(市外局番):102,048社(94.49%)
- 携帯番号(070/080/090):4,348社(4.03%)
- IP電話(050):1,087社(1.01%)
- フリーダイヤル(0120/0800):102社(0.09%)
- ナビダイヤル(0570):43社(0.04%)
- その他・桁数が合わないもの:375社(0.35%)
050の会社は100社に1社ほどでした。思っていたより少ない、と感じる方が多いと思います。携帯番号はその4倍ほどです。
一方で、フリーダイヤルを代表番号として載せている会社はわずか102社でした。フリーダイヤルは「お客様窓口」に使われることが多く、会社としての連絡先には固定電話を載せるのが普通だと読めます。
03の会社は、ほぼすべて東京にある
固定電話のうち、03から始まる番号は15,496社ありました。所在地を見ると、そのうち15,043社が東京都の会社です。06から始まる番号は6,496社で、大阪府が5,993社、兵庫県が369社でした(兵庫県は尼崎市など一部の地域が06を使います)。
逆に、東京都の会社19,030社のうち、03の番号を載せていたのは15,066社(79.2%)でした。残りの内訳は、携帯番号7.2%、050が2.6%です。東京の会社でも、5社に1社は03以外の番号を載せていることになります。東京都内でも多摩地域は03ではない市外局番を使うため、「東京なのに03じゃない=おかしい」とは言えません。
どんな会社が050や携帯番号を使っているのか
規模:小さい会社ほど携帯番号が多い
従業員数の区分ごとに、番号の種類の割合を出しました。
- 1〜4人(12,225社):固定76.82%/携帯19.59%/050 3.04%
- 5〜9人(14,257社):固定92.07%/携帯6.34%/050 1.11%
- 10〜29人(26,105社):固定95.77%/携帯2.94%/050 0.77%
- 30〜99人(21,288社):固定97.90%/携帯1.02%/050 0.58%
- 100〜299人(21,294社):固定98.91%/携帯0.20%/050 0.50%
- 300人以上(12,822社):固定98.40%/携帯0.16%/050 0.98%
従業員1〜4人の会社では、5社に1社が携帯番号を載せています。社長が1人で営業から事務までこなしている会社なら、固定電話を引かずに携帯1本で回すのは自然なことです。
050は少し違う動きをします。1〜4人で3.04%といちばん高いのは同じですが、いったん下がったあと、300人以上の会社で0.98%と再び上がります。大きな会社では、クラウド型の電話システムに切り替えて050を代表番号にしているケースがあると考えられます。つまり050は「小さい会社の番号」でもあり、「電話の仕組みを新しくした会社の番号」でもあるわけです。
フリーダイヤル(0.13%)とナビダイヤル(0.16%)も、300人以上の会社でいちばん高くなりました。全国に顧客がいる規模の会社が使う番号だと言えます。
業種:情報通信業は050が4.77%
業種別(しょくばらぼの業種区分・500社以上の業種のみ)では、050の割合がいちばん高かったのは情報通信業(5,425社)の4.77%でした。平均の約4.7倍です。IT企業はリモートワークを取り入れている会社が多く、オフィスに固定電話を置かない選択をしやすいのだと思います。
050が少ないのは、建設業(14,530社)0.20%、運輸業・郵便業(3,709社)0.30%、製造業(19,494社)0.32%でした。現場や工場がある業種は、今も固定電話が中心です。
携帯番号の割合が高かったのは、農業・林業(605社)9.92%、宿泊業・飲食サービス業(4,148社)9.79%、情報通信業8.85%、生活関連サービス業・娯楽業(3,559社)8.37%です。小さなお店や農業法人では、経営者の携帯がそのまま会社の番号になっていることが多いと読めます。
フリーダイヤルは、電気・ガス・熱供給・水道業(510社)0.39%、金融業・保険業(1,280社)0.31%が上位で、どちらも一般のお客様からの問い合わせが多い業種です。
法人の種類:合同会社は携帯が26.95%
法人の種類別では、差がさらにはっきり出ました。
- 株式会社(83,743社):携帯4.15%/050 1.11%
- 有限会社(8,174社):携帯2.10%/050 0.18%
- 合同会社(2,200社):携帯26.95%/050 4.59%
合同会社は4社に1社以上が携帯番号で、050も株式会社の4倍ほどです。合同会社は設立費用が安く、1人で立ち上げるケースが多い法人の形です。一方、有限会社は2006年以降新しく作れない「古い会社」なので、固定電話の比率が高くなります。合同会社の特徴は「合同会社」への就職は不利なのか、法人の種類の全体像は法人の種類一覧で詳しく書いています。
「050は怪しい」は数字で裏付けられるか
ここがいちばん知りたいところだと思います。そこで、国税庁の法人番号データで登記が閉鎖されている会社の割合を、番号の種類ごとに比べました。
- 固定電話:102,048社のうち1,735社(1.70%)
- 050:1,087社のうち15社(1.38%)
- 携帯番号:4,348社のうち32社(0.74%)
- フリーダイヤル:102社のうち1社(0.98%)
050や携帯番号の会社のほうが、閉鎖率はむしろ低いという結果でした。050や携帯の会社は設立が新しい会社に偏っていると考えられ、単純に「050だから消えやすい」とは言えません。
ついでに、「同じ番号を複数の会社が載せている」ケースも数えました。番号の種類は10万6,259通りあり、2社以上で同じ番号を載せていたのは1,283通り(3,027社)です。番号の種類ごとに見ると、同じ番号を共有している会社の割合は固定2.7%、050が3.2%、携帯3.8%で、大きな差はありませんでした。グループ会社で代表番号をまとめている例が多いと考えられます。
数字の限界:このデータは「ちゃんとしている会社」に偏っている
ただし、この数字には大きな前提があります。しょくばらぼは、会社が自分で厚労省のサイトに情報を届け出ているデータです。実体のない会社がわざわざ職場情報を登録することは考えにくく、ここに載っている時点で、ある程度「ちゃんとしている会社」に絞られています。
つまりこの結果は「050の会社は安全だ」という証明ではなく、「きちんと事業をしている会社の中にも、050や携帯番号の会社は普通にいる」ことを示しているにすぎません。050を使った詐欺や架空請求が実際にあることも事実です。番号の種類だけで白黒をつけず、他の情報と組み合わせて判断してください。見るべき点は幽霊会社・ペーパーカンパニーの見分け方にまとめています。
むしろ気になるのは「電話番号を載せていない」会社
今回、意外だったのは別のところです。しょくばらぼの電話番号欄が「--」になっている会社が18,161社ありました。番号を載せないことを選んだ会社と読めます。
この18,161社の登記の閉鎖率は3.81%で、番号を載せている会社(1.66%)の2倍以上でした。従業員1〜4人の会社では20.8%が「--」で、300人以上の会社では3.0%です。「050かどうか」より「そもそも連絡先を出しているかどうか」のほうが、差が大きかったことになります。
番号の種類を見たときの確かめ方
ここまでの数字をふまえて、番号の種類ごとに確認するとよい点をまとめます。
- 050の場合:会社の所在地を別の方法で確かめます。法人番号公表サイトで本店所在地を調べ、地図で実在する建物かを見るのが手堅い方法です。住所の確かめ方は会社の住所(本社・本店所在地)を調べる方法に書いています
- 携帯番号の場合:小さい会社なら普通のことです。従業員数・設立年と合わせて見て、規模に見合っているかを考えます。大きな会社を名乗っているのに携帯番号しかない場合は、少し注意が必要です
- フリーダイヤルしかない場合:お客様窓口の番号である可能性が高いので、会社の代表番号を別に探します。探し方は会社の公式電話番号を無料で調べる方法が参考になります
- 03・06なのに所在地が別の県の場合:転送サービスや支店の番号の可能性があります。本店所在地と、実際に働く場所・取引する拠点がどこかを確かめます
取引先として確かめる場合は、電話番号だけでなく登記・許認可・評判まで一通り見ておくと安心です。手順は新しい取引先の確認事項にまとめています。
よくある質問
050の番号の会社に応募しても大丈夫ですか?
番号だけで判断する必要はありません。今回数えた10万8,003社のうち1,087社(1.01%)が050で、情報通信業では4.77%が050でした。リモートワーク中心の会社では普通の選択です。気になる場合は、法人番号で会社が実在するか、所在地が実在する建物かを確認してください。
携帯番号しか載っていない会社は信用できませんか?
従業員1〜4人の会社では19.59%、合同会社では26.95%が携帯番号でした。小さな会社では珍しくありません。登記の閉鎖率も、携帯番号の会社(0.74%)は固定電話の会社(1.70%)より低めでした。規模に見合っているかを見るのが大事です。
東京の会社なのに03じゃないのはおかしいですか?
おかしくありません。東京都の会社19,030社のうち、03を載せていたのは79.2%でした。多摩地域は03以外の市外局番ですし、携帯(7.2%)や050(2.6%)を載せている会社もあります。
フリーダイヤルしかない会社の代表番号はどう探せばいいですか?
代表番号としてフリーダイヤルを載せている会社は102社(0.09%)しかなく、ほとんどの会社は別に固定電話を持っています。公式サイトの会社概要ページや、iタウンページで会社名を検索すると見つかることが多いです。
このデータはどこから取っていますか?
厚生労働省の「しょくばらぼ(職場情報総合サイト)」の公開データを、しょくばログのDBで法人番号と照合したものです。会社が自分で登録した情報なので、登録していない会社は含まれません。閉鎖の有無は国税庁の法人番号データで判定しています。
まとめ
- 厚労省サイトに電話番号を載せている10万8,003社のうち、固定電話は94.49%、携帯は4.03%、050は1.01%、フリーダイヤルは0.09%
- 050と携帯は、従業員の少ない会社・情報通信業・合同会社に偏っている。1〜4人の会社では携帯が19.59%、合同会社では26.95%
- 登記の閉鎖率は、固定1.70%に対して050は1.38%、携帯は0.74%。「050だから怪しい」は数字では裏付けられなかった
- 差が大きかったのは、電話番号を載せていない会社(閉鎖率3.81%)のほう
- 番号の種類は「規模と働き方の手がかり」。怪しいかどうかは、所在地・登記・評判と組み合わせて判断する
会社の評判まで含めて確かめたい場合は、会社の評判を調べる方法もあわせてご覧ください。
※数値は、厚生労働省「しょくばらぼ」公開データのうち、しょくばログのDBで法人番号と照合できた146,479社(電話番号に数字が入っていた108,003社)を2026年9月に集計したものです。番号の種類は先頭の数字で機械的に分類しており、会社が実際に契約している回線の種類を確かめたものではありません。従業員数・業種はしょくばらぼの登録値、法人の種類と閉鎖の有無は国税庁の法人番号データによります。集計スクリプトは `scripts/analyze_tel_prefix.py`。