✍ 古家あきら | 2026-09-21 更新
会社のメールアドレスを調べる方法 — サイトにメールを載せている会社は19.9%、フォームだけの会社が20.3%だった
会社のメールアドレスを調べる方法を先に言うと、公式サイトの「お問い合わせ」「会社概要」「プライバシーポリシー」「特定商取引法に基づく表記」「採用情報」の5か所を順に見る、これでほぼ決まります。載っていなければ、その会社は「メールを公開しない」と決めている会社で、問い合わせフォームか電話が用意された経路です。
ただ、この「載っていない」がどれくらい普通のことなのか、数字で言える人はあまりいません。しょくばログという会社データベースを運営していると、会社サイトの本文を保存したテキストが手元に溜まります。今回はそのうち32,838社分を機械で読み直して、メールアドレスがそのページに書かれていたかどうかを数えました。
結果は、メールアドレスが書かれていたのは6,527社(19.9%)。電話番号が書かれていた17,392社(53.0%)の4割弱しかありません。メールアドレスを探して見つからないのは、あなたの探し方が悪いのではなく、載せていない会社が多数派だからです。
この記事では、探す順番と、載っていないときにどうするか、そして「見つけたアドレスが本物か」の確認まで、順に書きます。
結論:メールアドレスは「載せない」が多数派
まず前提を共有しておきます。会社の電話番号や住所は、電話番号の調べ方や住所の調べ方で書いたとおり、公的な集約先(gBizINFO・法人番号公表サイト・タウンページ)があります。
メールアドレスには、それがありません。国税庁の法人番号公表サイトにも、経済産業省のgBizINFOにも、メールアドレスの項目はない。登記簿にもない。メールアドレスは、会社が自分で載せると決めた場所にしか存在しない情報です。
だから探し方は「公的データベースを引く」ではなく「その会社がどこに載せたか」を当てる作業になります。載せる場所は限られているので、順番さえ知っていれば早い。
調べ方①:公式サイトの5か所を順に見る
公式サイトを開いたら、以下の順で見ます。私が実際に調べるときの順番です。
| 順番 | 見る場所 | 載っていることが多いアドレス | 補足 | |---|---|---|---| | 1 | お問い合わせ(Contact) | info@、contact@、お問い合わせ窓口 | ここに無ければフォームのみの会社が多い | | 2 | 会社概要(Company / About) | 代表アドレス、本社の窓口 | 住所・電話と並んで書かれている | | 3 | プライバシーポリシー | 個人情報の開示請求窓口 | 個人情報の「窓口」を置く必要があるため、ここにだけメールがある会社は意外と多い | | 4 | 特定商取引法に基づく表記 | 通信販売の事業者連絡先 | ネット販売をしている会社のみ。電話番号は原則載る | | 5 | 採用情報(Recruit) | recruit@、saiyo@、jinji@ | 応募専用。営業目的で使うと嫌われる |
意外に見落とされるのが3番目のプライバシーポリシーです。お問い合わせページがフォームだけの会社でも、プライバシーポリシーの末尾に「個人情報に関するお問い合わせ先」としてメールアドレスを載せているケースがあります。ただしこれは開示請求などの専用窓口なので、営業の連絡に使う場所ではありません。
サイト内検索ができるなら、「@」や「mail」で検索するのが一番速い。ブラウザの検索(Ctrl+F)でページ内を「@」で探すのも有効です。画像として貼られている場合はヒットしないので、その場合は目視になります。
調べ方②:メールが無ければ問い合わせフォームが「その会社の正規ルート」
今回の集計で、メールアドレスは無いが「お問い合わせフォーム」「入力フォーム」「エントリーフォーム」といった言葉がページにある会社は6,658社(20.3%)でした。メールを載せている会社(19.9%)とほぼ同じ規模です。
これは「メールを隠している」のではなく、「窓口をフォームに一本化している」と読むのが正しい。迷惑メールの流入を減らす、担当部署に自動で振り分ける、送信内容を記録に残す——フォームには会社側の合理的な理由があります。
だから、フォームしかない会社に無理にメールアドレスを探し当てて送るより、フォームから送ったほうが返事は来やすい。会社が用意した経路を使うのが一番確実です。
調べ方③:info@ で推測する——当たるが、送る前に確認する
「メールが載っていないなら、info@ドメイン に送ればいいのでは」と考える人は多いです。実際、今回見つかったアドレスの先頭部分(@の前)を数えると、info が2,035件で圧倒的な1位でした。メールアドレスが書かれていた6,527社のうち31.2%に info@ があったことになります。
| @の前の部分 | 件数 | 用途 | |---|---|---| | info | 2,035 | 代表窓口 | | recruit | 333 | 採用 | | saiyo | 316 | 採用 | | saiyou | 260 | 採用 | | jinji | 179 | 人事 | | soumu | 129 | 総務 | | contact | 102 | 代表窓口 | | support | 49 | サポート | | office | 47 | 事務所 | | sales | 41 | 営業 |
(集計:しょくばログDB・2026-09-21・メールアドレスが書かれていた6,527社のページから抽出)
採用系(recruit・saiyo・saiyou・jinji・career・kyujin・recruitment)を合計すると1,155件で、メール記載社の17.7%。会社サイトに載っているメールアドレスは、代表窓口か採用窓口のどちらかにほぼ集約されます。
ただし推測アドレスは、存在しないアドレスに送るとエラーで戻るだけなので害は小さいものの、「存在するが誰も見ていない」アドレスに届いてしまうと、送った側は返事を待ち続けることになります。推測で送るなら、同時にフォームからも送る。これが実務上の答えです。
調べ方④:WHOIS(JPRS)には管理者のメールが出るが、目的外利用は禁止
技術寄りの人は「ドメインのWHOISを引けばメールが出る」と知っています。実際に確認しました。日本の .co.jp ドメインは日本レジストリサービス(JPRS)が管理していて、`whois.jprs.jp` に問い合わせるとドメイン情報が返ります。
ある建設会社の .co.jp を引くと、ドメイン情報には [Administrative Contact] として担当者ハンドル(英字と数字の記号)が出るだけで、メールアドレスは出ません。そのハンドルをもう一度引くと、担当者情報として `[E-Mail]` が表示され、この会社の場合は `postmaster@` で始まるアドレスでした。
つまり出ることは出る。ただし2点、注意が要ります。
1. 出てくるのはドメイン管理者(情報システム部門など)のアドレスで、営業や採用の窓口ではない。postmaster@ に商談の連絡を送っても、届く先は違います。 2. JPRSのWHOIS応答には冒頭に「ネットワーク管理目的に限る」と明記されています。営業リストを作る目的で引くのは、明確に目的外利用です。
WHOISは「このドメインを本当にこの会社が持っているか」の確認には使えます。使い方はドメインからの実在確認で書きました。メールアドレス探しの道具としては、使わないほうがいい。
調べ方⑤:gBizINFO・法人番号公表サイト・登記簿には無い
念のため書いておくと、無料の公的データベースには、メールアドレスの項目そのものがありません。
- 国税庁 法人番号公表サイト:商号・本店所在地・法人番号のみ
- 経済産業省 gBizINFO:法人基本3情報に加えて、資本金・従業員数・代表者名・URLなどが各府省データから紐づくが、メールアドレスの項目は無い
- 登記事項証明書:代表者住所・役員・資本金は載るが、電話番号もメールも載らない
「公的な情報源にメールが無い」というのが、この記事の話の出発点でもあります。探す先は公式サイトしかない。
うちのデータ:32,838社のサイトを機械で読んだ結果
ここからが、他ではあまり見ない数字です。
集計の前提(読み飛ばさないでください)
- 対象は、しょくばログが保存している会社サイトの本文テキスト32,838社分。1社につき1ページで、採用ページとして登録されていたURLを取得したものです。実際にはトップページが返ってくることも多い
- サイト全体ではなく1ページを見ています。「お問い合わせ」ページの奥にメールがある会社は、今回「メール無し」に数えられている。だから以下の数字は「サイトのどこかにメールがある会社の割合」ではなく、「そのページを開いてすぐメールが分かる会社の割合」です
- 対象は職場情報総合サイト(厚生労働省)に情報を載せている会社が中心で、全国の会社の縮図ではありません。従業員がいて、URLを登録している会社に偏っています
全体:メール19.9%、電話53.0%、どちらも無い41.0%
| ページに書かれていたもの | 社数 | 割合 | |---|---|---| | メールアドレス | 6,527 | 19.9% | | 難読化(「at」「@」表記)のみ | 534 | 1.6% | | 電話番号(TEL表記つき) | 17,392 | 53.0% | | 「お問い合わせ」という言葉 | 28,208 | 85.9% | | フォーム系の言葉(お問い合わせフォーム等) | 8,466 | 25.8% | | メールは無いがフォーム系の言葉はある | 6,658 | 20.3% | | メールと電話の両方 | 4,538 | 13.8% | | 電話のみ(メール無し) | 12,854 | 39.1% | | メールも電話も無し | 13,457 | 41.0% | | LINE公式アカウントへの案内 | 1,388 | 4.2% |
(集計:しょくばログDB・2026-09-21・対象32,838社)
「お問い合わせ」という言葉は85.9%のページにあるのに、メールアドレスは19.9%。差の大半は「お問い合わせページへのリンク」です。トップページに窓口の入口はあるが、中身(メールか電話かフォームか)は次のページを開かないと分からない——これが日本の会社サイトの標準形です。
規模別:小さい会社ほどメールを載せ、大きい会社ほど載せない
gBizINFOの従業員数と突き合わせると、はっきりした傾向が出ました。
| 従業員数 | 社数 | メール記載 | フォーム系の言葉 | 電話記載 | |---|---|---|---|---| | 1〜9人 | 4,263 | 24.1% | 20.8% | 45.8% | | 10〜49人 | 9,156 | 20.8% | 27.1% | 59.5% | | 50〜299人 | 12,196 | 18.0% | 28.2% | 57.2% | | 300〜999人 | 4,857 | 19.5% | 25.1% | 46.7% | | 1,000人以上 | 2,336 | 18.9% | 18.8% | 31.6% |
(集計:しょくばログDB × gBizINFO従業員数・2026-09-21)
従業員1〜9人の会社は24.1%がメールを載せているのに、1,000人以上の会社は18.9%。電話番号も、10〜49人の59.5%を頂点に、1,000人以上では31.6%まで下がります。
これは実感とも合います。小さい会社は代表者本人がメールを見るので、載せておけば直接届く。大きい会社は窓口を部署ごとに分けるので、トップページには連絡先を置かず、「お問い合わせ」ページで用件別に振り分ける。探している会社が大企業なら、トップページで探すのは時間の無駄で、最初からお問い合わせページに行くべきです。
法人種別:株式会社も有限会社も2割前後で差は無い
| 法人種別 | 社数 | メール記載 | |---|---|---| | 株式会社 | 27,118 | 19.7% | | 有限会社 | 1,177 | 21.8% | | その他の法人(医療法人・社会福祉法人・学校法人等) | 4,189 | 20.1% |
(集計:しょくばログDB・2026-09-21)
法人種別による差はほぼありません。載せるかどうかは、種別より規模と業種で決まっているようです。
見つかったアドレスの3.0%はフリーメール
見つかったメールアドレスは、重複を除いて8,187件。そのうち gmail.com・yahoo.co.jp・outlook.jp・nifty.com などのフリーメール・プロバイダメールは247件(3.0%)で、gmail.com が180件と最多でした。
会社サイトを持ちながら連絡先がGmail、というのは違和感を持つ人もいるでしょうが、小規模の会社ではそれほど珍しくない。それだけで怪しいとは言えません。ただし、次の節で書くように「ドメインとメールの不一致」は確認のポイントにはなります。
見つけたメールアドレスが本物かを見分ける3つの確認
メールアドレスを見つけても、それが本当にその会社のものかは別の話です。私が確認するのは3点です。
1. ドメインが会社サイトと一致しているか `info@example.co.jp` が `example.co.jp` のサイトに載っているなら、まず本物です。サイトのドメインと違うドメインのメール(例:会社サイトは .co.jp なのにメールは .com)は、旧ドメインの名残か、別会社のアドレスか、どちらかなので確認が要ります。
2. 会社の実在が確認できているか サイトにメールが載っていても、会社自体が幽霊会社なら意味がありません。法人番号公表サイトで社名と住所を引き、サイトの会社概要と突き合わせる。これは30秒で終わります。
3. 難読化されているアドレスは「機械収集を避けたい」意思表示 今回534社(1.6%)が「info (at) example.co.jp」「info@example.co.jp(全角)」のような難読化表記でした。これは迷惑メール収集ロボットを避けるための書き方で、人間が読んで送るのは問題ない。むしろ「メールで連絡を受け付ける意思がある」証拠なので、フォームより返事が来やすいこともあります。
しょくばログを運営して分かった、いちばん正直な話
会社データベースを運営していると「メールアドレスも載せてほしい」という要望を受けることがあります。答えは「載せません」です。理由は2つ。
1つは、上で書いたとおり公的な出所が存在しないこと。電話番号にはタウンページという一次資料があり、住所には登記がありますが、メールアドレスは会社サイトを機械で読む以外に集める方法がなく、それは会社が「サイトに載せた」範囲を超えて再配布することになる。
もう1つは、集めたところで4割の会社はメールも電話もページに無い(今回の13,457社・41.0%)という現実です。載っている会社だけ載せるデータベースは、「載っていない=存在しない」という誤解を生みます。
だから、この記事でできることは「メールアドレスを教える」ではなく「探す順番と、無いときの正解を教える」ところまでです。無いときの正解は、フォームか電話。それがその会社の決めた経路です。
よくある質問
会社のメールアドレスが公式サイトのどこにもありません。他に探す場所は?
サイト内にないなら、会社が公開していないと判断していい。次の候補は、①その会社が出している求人票(採用担当のアドレスが載ることがある)、②名刺やパンフレット、③過去にやり取りした人からの紹介、の3つです。今回の集計でも、サイト1ページにメールがある会社は19.9%しかなく、「無い」のが普通です。フォームか電話が用意されているなら、それを使ってください。
info@ に送って返事が来ません。無視されたのでしょうか
info@ は代表窓口ですが、会社によっては迷惑メールの大半がここに集まるので、確認頻度が低いことがあります。返事がなければ、フォームから送り直すか、電話で「メールを送ったのですが」と一言添えるのが確実です。存在しないアドレスなら通常はエラーメールが戻るので、戻ってこなければ届いてはいます。
採用担当のメールアドレスは営業に使っていいですか
やめたほうがいい。recruit@・saiyo@・jinji@ は応募者のためのアドレスで、営業メールが混ざると採用担当の業務を妨げます。今回見つかったアドレスの17.7%が採用系でしたが、それは「採用の連絡先を公開している会社が多い」という意味であって、営業の入口が増えたという意味ではありません。営業は info@ かフォームへ。
WHOISで見つけたメールアドレスに連絡してもいいですか
JPRSのWHOISは応答の冒頭で「ネットワーク管理目的に限る」と明記しています。ドメインの管理上の問題(自社のメールが届かない、なりすましの疑いがある等)で連絡するなら正当ですが、営業や採用の連絡には使えません。出てくるのも postmaster@ のような管理用アドレスで、用件が届く先ではありません。
会社のドメインは分かっています。メールアドレスの形式(姓.名@ など)を調べる方法は?
公式サイトに載っている個人名つきのアドレスがあれば、そこから形式は推測できます。ただし個人宛アドレスを推測して送るのは、相手にとっては「知らない人から名指しで来た」メールになり、印象は良くありません。個人に届けたいなら、代表窓口経由で取り次いでもらうか、その人が公開している連絡先を使うのが筋です。
メールアドレスを載せていない会社は、連絡を受けたくないということ?
違います。今回の集計では、メールは無いがフォーム系の言葉があるページが20.3%、電話のみが39.1%。「メールという経路を用意していない」だけで、連絡は受け付けています。フォームに一本化する会社は、むしろ問い合わせを確実に処理したい会社です。
まとめ
- 会社のメールアドレスは、公式サイトの「お問い合わせ」「会社概要」「プライバシーポリシー」「特定商取引法に基づく表記」「採用情報」の5か所を順に見る。公的データベース(法人番号公表サイト・gBizINFO・登記)には項目がない
- しょくばログが保存する会社サイト32,838社分の1ページを機械で読むと、メールアドレスが書かれていたのは19.9%。電話番号(53.0%)の4割弱で、メールも電話も無いページが41.0%
- 従業員1〜9人の会社は24.1%がメールを載せ、1,000人以上は18.9%。大企業ほどトップページに連絡先を置かない
- 見つかったアドレスの31.2%は info@、17.7%は採用系。フリーメールは3.0%
- メールが無ければフォームが正規ルート(メール無し・フォームありは20.3%)。info@ での推測は害は小さいが、フォームと併用する
- WHOISには管理者メールが出るが「ネットワーク管理目的に限る」。営業・採用の連絡には使わない
会社サイトがそもそも見つからない場合は、検索しても会社が出てこないときの調べ方を先に読んでください。店名やサイト名しか分からない場合は、店名・サイト名から運営会社を特定する方法が入口になります。